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三井住友VISA太平洋マスターズ 2025

金子駆大の座右の銘「コツコツが勝つコツ」投資を惜しまず賞金1位に浮上

23歳の金子駆大(かねこ・こうた)がパー70での大会最多を4打更新する17アンダーで、5月の「関西オープン」に続く通算2勝目を達成。

生源寺龍憲(しょうげんじ・たつのり)を抜いて賞金1位に浮上し「賞金王も狙えるので、残り3戦優勝するつもりで頑張ります」と、口にした。


普段は、家族にもあまり多くを語らないそうだ。
でも「今週は勝ちに行く」と、母・久美さんらに宣言して有言実行V。

5打差で出て6打差の圧勝に、1年の成長を見せた。首位に立った2日目から、3日連続ボギーなしを続けて完璧に逃げ切った。


1番で、1メートルのパーパットを残すピンチで隣の高橋キャディに「緊張する」と訴えながらナイスセーブ。




2番で6メートルを沈めて連続バーディを記録し、李尚熹(イ・サンヒ)が3差に迫った6番では第1打が右の林に行ったが、65ヤードの第3打で、スピンと傾斜を巧みに利用しOKパー。




9番では4メートルもしのいで4打差ターンにガッツポーズを作ると、14番での5打差でもう勝利を確信していた。

マスターズの出場資格がかかった先月の「日本オープン」では、スタートから4ホールで4オーバー叩いて10位で敗戦した。
「イーブンパーなら勝てていた」と序盤で諦めてしまった自分を悔いた。

2試合連続で最終日最終組を戦った次の「フォーティネット プレーヤーズ カップ」では佐藤に逃げ切られて、「もっと落ち着いてできていれば」と、また反省。

度重なる敗戦にもくじけず、5月の初Vから3位を5度も続けるなど好調をキープし、狙いを定めた本大会では終始、冷静なゲーム運びで他を圧倒した。


「テストするのがめんどくさい」と、クラブはよほどになるまで変えない。「嫌いなものは嫌い。自分のためにならないことはやらない」と、頑固を貫く。

でも「いいなと思ったことはずっとやる」。
“コツコツが勝つコツ”が座右の銘。

現在、コーチはショットの目澤氏と、パターの橋本氏と、ウェッジの永井氏と、トレーナーの山喜氏とで、各部門別に4人もいる。
「そこにお金をかけることで結果が出るならそれでいい」と、まだ若いがとことん自分に投資。
いまそれが確実に利益をもたらし、残り3戦で賞金ランク1位に浮上した。

初出場の昨年大会でも最終日のV争いに絡みかけたが、11番のダブルボギーで15位に沈んでいた。
「その大会で優勝してくれたのが嬉しい」と、昨年頭から教える目澤コーチ。

「試合で打てる球」をテーマに目澤さんと取り組んできたショットは「いま今年一番くらい仕上がっている」と、ことごとくピンを刺し、プロ仲間もひれ伏すほど。


3日目の最終組で回った堀川未来夢(ほりかわ・みくむ)が、あまりの金子の隙なしに「賞金王おめでとうございます」などと、最終日の優勝を予言していたが、「先輩にそうまで言ってもらえるほどの選手に成長してくれたことが嬉しい」と、目澤コーチも感無量だ。

次週「ダンロップフェニックス」の終了後も賞金1位を守れば、PGAツアーの最終予選会から挑戦できるが、本人は「賞金王も獲りたいし、(賞金王の資格で)欧州ツアーも行きたいし、アメリカに行くには準備も必要」とまだ思案中。

「来週までには決めたいな、と思います」。
御殿場での有言実行Vで、一挙に夢の選択肢が増えた。



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