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ダンロップ・スリクソン福島オープンゴルフトーナメント 2019

岩田寛が単独首位キープ

プロ16年目の38歳は時々、報道陣をけむに巻く。ひとつの質問に、絶妙の間合いを作ってハラハラさせる。
9アンダーから出た2日目は、スタート10番、さらに13番でもボギーを打ち、大会名物のバーディ戦にさっそく躓いたかに思われた岩田寛。

上ってからさっそくその点について質問が出た。
眉間のあたりを人差し指で、モミモミしながらしばらくのちに、絞り出した答えは「ショットで2つ、試したいことがありました」。
それを、この日はスタートから取り入れてみたという。
その詳しい内容についてはやっぱり、けむに巻いたが「今までになかった新しいアイディア。新鮮でした」。
結局、失敗に終わって「全然ダメ。もっと練習を積んでから」と気づいて、元に戻した14番では、87ヤードの2打目を3メートルのチャンスにつけた。
そこから3連続バーディで、するりとまた上昇気流に乗った。

前日初日に引き続いて再びこの日は9バーディを奪った。
後半の2番では、聞き捨てならない"声援"を聞いた。
「ナイスまぐれ!」。
「あれは…知らない人です」と心無いヤジに最初、他人のふりを決め込んだがすぐに「大学の4つ先輩です」と、ネタばらし。
「…不愉快ですね」。
一応、不機嫌そうに言ってはみたがへの字の口元に、かすかに滲んだ笑みにはおのずと、旧知の仲であることが伺えた。

仙台の自宅から車で2時間半ほどかかるが、地元東北の風に吹かれて心もなごむV争い。
「いつもなら、最初のボギーでイライラするけど今日は冷静でした。そこから巻き返せた」と、再びふわりと単独首位に返り咲いて「今日は今日、明日は明日。まだ2日目なので。自分に期待しないでやります」。
16年シーズンの米参戦で、しばらく不振に身を置いたが、今週は明るい兆しも見え隠れ。
地元で復活のV3をアピールして、お茶目な先輩の鼻も明かしてみたい。

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