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HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP 2019

ゴルフの復興中。重永亜斗夢(しげながあとむ)が「ここから地道に」

世界遺産が焼失したのは先週。首里城を失ったばかりの沖縄。「みなさんは、いまとても苦しいと思う」とゴルフ界のアトムには、覚えがある。
地元を襲った2016年の大地震で、愛する熊本城が被災。

「あのときは、僕もつらかったが、こういうのは地元の人間しか分からない辛さがある」。
思いを寄せながら出た初日。
6バーディ、2ボギーの67を出した。

4アンダーの好発進に、「もう残り4試合。遅いですけど、ここから頑張りたい」。
苦しみ続けた今季、やっと明るい兆しが見えてきた。

エースの1Wに、用品ルール違反が見つかったのは、今季明けて間もない5月。
新ドライバーを探すところから、アトムの迷走が始まった。
「ヘッドとシャフトの相性の悪さなのか、両サイドに球が曲がる。悩みの種になった」という。

特に夏を過ぎて以降はつらかった。
安倍首相と同じ、潰瘍性大腸炎の持病を持ち、連戦が続くと体重減がはなはだしい。

「夏から3キロ落ちた。今は56キロもない」。
スタミナ不足に加えて、クラブの選定も遅々として進まず、練習を重ねれば重ねるほど疲弊していったが、メーカーの献身に救われた。

「キャロウェイのスタッフさんには、わがままを聞いてもらって感謝。古いのを、掘り出してきてもらったり、新しいのを出してもらったり。今週なんかも、クラブを3本手持ちで持ってきてくれた」。

その中の1本が、ついにアトムの手にハマった。
「方向性を維持した上で、マジで飛んでる。いいのが見つかった。ストレスが消えた。それが良いスコアにつながった」と、結果で応えた。

昨年の国内開幕戦「東建ホームメイトカップ」で悲願のツアー1勝も、序盤の躓きが響いて、今季の賞金ランキングはまだ50位。
「今まで無駄にしたわけではないですけれど、今まで不安材料を持ってやってきて、いまやっとストレスとか無くなった状態でやれるのかな。とりあえずここから1試合1試合、地道にやっていくだけ」。
ゴルフの復興も始まったばかり。本家本元のように10万馬力とはまだいかないが、ここ沖縄から焦らず立て直していくつもりだ。

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