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前澤杯 MAEZAWA CUP 2026

震災から10年「熊本の役に立ちたい」アトムの願い

震災から10年目。
熊本県出身の重永亜斗夢(しげなが・あとむ)は、千葉県長生郡睦沢町の「MZ GOLF CLUB」にいた。

次週の23日から本戦が始まる「前澤杯 MAEZAWA CUP」は、開幕まで10日間の超・ロングプロアマ戦が行われるのが大きな特徴だ。

重永は、うち7日間で参加。
12日に熊本を経ち、13日月曜から3日連続でプレーし、16日はいったん休んで、本戦までまた4日間、続けてラウンドする。

なかなかの過密日程だが、「僕は苦じゃない。むしろプロアマ好きなんで。プレーしながらお話するのが楽しいし、この出会いが今後の僕の人生に、どう左右するかわからないので」。


⛳23日からの本戦は4日間とも観戦無料! チケットのお申込みには公式ラインでお友達登録を!


プレー後は、ほぼみなさん言ってくださる。
「アトムプロって、こんなに喋る人なんですね!」。

本戦に入ればやっぱり真剣勝負。
「怖い顔をして、無口で、っていう…。試合中は懸命ですからね。でも、なんならむちゃくちゃ喋るほうが僕の素なんで。そういうところも見せられて、楽しいって言ってもらえて、ファンになってくださる方もいる、というのがプロアマ戦のだいご味です」。

中にはこのあと「ナイターゴルフに行く」というツワモノもいて、その熱量にも可能性を感じる。
「それほどゴルフを愛する方々に応援していただくことで、僕らの人生も豊かになる」。

まして昨年のQTはサードで敗退。ツアーの出場権もままならない今は、主催者推薦をいただく身。
「こんな機会をいただけることに感謝したい」と、渾身プレー。
アトムは本戦前から10万馬力だ。

今から10年前。
震度7の大地震が最初に故郷を襲った4月14日は、開幕戦「東建ホームメイトカップ」の初日で首位発進した日。


10年前の東建ホームメイトカップでは熊本出身の永野(左)と不安をこらえてプレーを続けました


奇しくも、同じ熊本出身で幼なじみの永野竜太郎(ながの・りゅうたろう)と同スコアで並び立ったその夜、大地震は起きた。
さらに、2日後の16日に再び震度7を観測し、家族を案じて泣きながらプレーを続けて重永は4位、永野は3位と2人で粘った日のことは、今も忘れない。

そして、その2年後の2018年「東建ホームメイトカップ」で今度はツアー初優勝。


そして2年後の東建ホームメイトカップでは家族と最良の日を迎えましたが…


三重県の会場に駆け付けてくれた家族と最良の日を迎えたが、10年後の今は、出場権すら持たない。

初V賞金の一部を県に寄付したり、シード選手で活躍していた頃には石川遼(いしかわ・りょう)ら、人気選手たちにも足を運んでもらって地元でチャリティイベントも開催。
故郷のために尽力したが、陥落中の今は、まず自分のことで精いっぱいの状況だ。


当時、重永の留守中に自宅で被災し、車中泊で不安な日々を経験した妻や娘たちは、10年経った今も、少しの揺れでも身構えおびえる。


10年目の熊本市内の街並みも、もうほとんど当時の爪痕を残さないように見えるが、まだ復興なかばのシンボル・熊本城を見上げるたびに、「当時の被害がいかに甚大だったかが思い起こされます」と、重永。


持病の潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)は幸い小康状態でも、37歳の今は年齢からくる腰痛や、股関節痛に悩まされてなかなか思うがままにはならないが、「またいつか必ず復活して、熊本のために役立ちたいです」。
10年目の今も故郷への思いがアトムの原動力だ。

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