Tournament article

怪物コースでV21。池田の勝利に貢献したジャンボの宝刀

L字パターを勧めてくれた正岡から受けた水シャワー。冷たいよ〜!
最終日こそ、これぞプロという1打で締めた。1打差首位で迎えた18番。165ヤードの2打目は、リーのトラブルショットで少し待たされた。
専属キャディのラジさんにふとこぼした。「ちょっと緊張してきたよ」。
こんなとき、池田はいつも自分に問う。
「ジャンボさんならどう打つか?」。お手本は、常に通算113勝のレジェンド。
「9Iで、雰囲気出していこうよ」。
フィジー生まれのキャディの陽気な言葉に微笑み、放った球は完璧だった。
右10メートルに乗せた。宝刀のL字パターでOKパーを拾って逃げ切った。
前の17番パー3はパーセーブにこそ失敗したが、わずかにこぼれた奥から、ウェッジを持った急な下り傾斜のアプローチもまた完璧だった。
16番まで9アンダーで来ながら17、18番でダボ、ボギーに終わった前日3日目。不甲斐ない上り2ホールに怒り狂って「明日もう一度、コースと勝負」。
昨日の自分に打ち克つV21。「いい勝ち方だったと思う」。

1打差の単独首位から出た最終日最終組は、飛ばし屋2人に挟まれV争い。チャンもリーにも「俺が飛距離で及ぶことはない。そこに食らいつくには? なにでカバーをしていくか」。
高いショットの精度で応じた。繊細なタッチの小技も冴えた。
序盤は3番から3連続バーディもお見舞いした。

昨年大会は米ツアーに出たため、昨年から会場を移したザ・ロイヤルゴルフクラブは今年が初体験。
初めて見る総距離8000ヤード超の怪物コースは「日本中どこを探してもない。どう挑む?どう攻める。今週は対コースの戦い。"池田勇太"のスタイルが出せると思った」。
3日目にはついに8016ヤードの設定も、恐れるどころか精度の高い1Wを駆使して「俺は長くは感じなかった」。
予選2日に続いてこの日の最終日はまた、前のティを使って約7600ヤードのセッティングに戻されると「今日も8000ヤードがよかったのに!」。
3日目に出した「66」は、会場がここに移ってからの大会コース新。
「来年、また8000ヤードで回って自分の記録を破りたい」と、もう気が逸る。

3週前から使う古めかしいL字パターは、ジャンボ尾崎の90勝記念モデルだ。
「25年前にコレクションとして、使うつもりなく買ったもの。100勝記念も持っている」。
しかし今季、国内開幕時に「勇太には昔のL字が合うと思う」と、大学で1歳上の正岡竜二に言われてしばらく借りたが「先輩のを使い続けるわけにもいかず」。自分の宝物をやむなく「リメイク」。宝刀に命を吹き込み「打ち出したい所に打てる」と今や絶対エースになった。

09年の初Vから、これで11年連続の勝利は歴代2位タイの記録(※)。
見上げる同1位は、15年連続記録のジャンボ。
「ジャンボさんが持たれている記録を目指して、高い目標で勝利を積み重ねていくことが大切です」。
2015年から毎年踏んだメジャーの舞台も、今年は14年以来となる不出場の寸前だった。
「メジャーは4つしかない。限られた選手しか出られない。ステータスのある試合だし、出られないのは寂しかった」。
この勝利で5年連続8度目の全英オープン(7月18ー21日、北アイルランド・ロイヤルポートラッシュGC)の切符も手にして「またあの舞台で暴れてきます」。
憧れてやまぬ人の後継候補の自覚で挑む

※毎年連続ツアー優勝記録(1973年ツアー制度施行後)
1位(15年連続)ジャンボ尾崎(1986年〜2000年)
2位(11年連続)青木功 (1973年〜1983年)/ 片山晋呉(1998年〜2008年)/ 池田勇太(2009年〜2019年継続中)
5位(10年連続)杉原輝雄(1977年〜1986年)
6位(9年連続)鈴木規夫(1974年〜1982年)/ 倉本昌弘(1980年〜1988年)/ 尾崎直道(1984年〜1992年)

関連記事