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日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯 2017

優作が、また勝ったさ〜

「やろうと思ってなかったけれど、急に出てきた」と、応援に来てくださった大勢の地元ファンに捧げた沖縄伝統の踊り
今週こそ一番ちゅーばー! 優作がまた勝ったさ〜。プロ日本一で2試合連続の地元Vを達成したさ。
「信じられない、こんな日がくるなんて。夢みてんじゃないか、って」。
ヒーローインタビューで日テレの河村亮アナウンサーに、もらい泣きしたからだけではない。
海風に乗り、あっちこっちでピーピーと鳴り響く指笛。
改めて、呼び覚まされる地元愛。感謝の思い。泣きそうだった。
目を赤くしながら「やっぱりいい、最高ですね。たくさん“まぶやー”がついてるような。ありがたい応援だった」。

18番グリーンサイドの電光掲示に優作には馴染みのうちなー言葉が映し出されてまた嬉しいやら驚くやら。
「ちゅーばー」とは「強い」という意味の沖縄の方言だ。
「まぶやー」は「魂」。
「今日はたくさんの見えない力が働いたと思う。沖縄の方々の、あったかい声援に背中を押された」。
サンシンの音色。エイサーの調べ。自然と体が動き出す。ウィニングパットを沈めて大観衆の前で踊った「カチャーシー」は、2007年の紗千恵さんとの結婚式で、披露して以来という沖縄伝統の喜びの舞。

2週前に、住んで4年の名古屋で劇的なツアー通算4勝目を飾った優作が、1試合もおかずに今度は地元も地元でまた勝った。
ちょうど、本土復帰45年を迎えた。愛する沖縄に自身初のメジャータイトルを捧げた。

「プロは5勝をして一人前」と、ずっと言われていた。
「オヤジも泣いていた」。父親の優さんも望んでいたツアー5勝目には何よりの称号をくっつけて、立派に成長した姿を目の前で見せられた。
以前は周囲の期待が重くて、2013年の初優勝まで11年もかかったものだが「今は力に変えられる」。
今ならビッグタイトルも狙って勝てる。
「聖志も、藍ちゃんも沖縄で勝っている。僕も、どうしても勝ちたかった」。
兄が笑っていた。大ギャラリーに紛れて、大好きな家族もずっとついていてくれた。
「カッコ良かった」とは最愛の妹。藍さんは「沖縄の風が、お兄ちゃんに味方した」と言った。
前日の3日目から2日がかりの第3ラウンドでは、あれほど待ち焦がれたバーディラッシュは雲が割れ、雨も上がり、最終日には6344人の大ギャラリーが駆けつけ、家族総出の声援を受けた途端に、突如として訪れた。

最終ラウンドで、2打差の2位から猛然と追いかけたのは大会3勝目を狙う谷口徹。早々に、捕まえた。
「でも谷口さんが一番に怖かった」。
谷口は途中、連続ボギーで崩れはしたが「隙を見せたら必ずまた来る選手」とどんなに差をつけても気を緩めなかった。
徹底的にねじ伏せた。勝てば5年シードの日本タイトル。
「メジャーで勝つためには越えなければいけない壁」と、みごと切り崩して退けた。
14番で、ケネディの追い上げを知っても「自分が崩れなければ大丈夫」と、冷静だった。
「優作は落ち着いていた」と谷口が褒めた。「優作は上手くなった」と、いつも厳しい大先輩にも言わしめた。

3打差の快勝に「今日は安心してみていられた」と、藍さんのことも今度こそハラハラさせずに済んだ。
「お兄ちゃんは、一皮むけた気がする。まだまだ勝てる」と、妹にも確信させた地元Vにはなんと、異例の地元紙による“号外”が会場でも配られた。

ちょうどこの日、スナッグゴルフの中部地区予選で、デビュー戦を飾ったという長女の萊杏(らん)さんにも、「お父さんが頑張っている姿を見せたかった」と、優作は言う。
最終日こそ、宮里家の結束力を見せつけた。
なんといってもこの日、14日は母の日だ。
「あの人がいなければ、宮里家は始まっていない」という。
家族で最初にゴルフを始めたのが母親の豊子さんであると言い、「オヤジにゴルフを教えたのもあの人。ことの発端は、あの人。いつもほんとにありがとう」と、母親には一段と優しい声が出た。

優作がまた勝った。地元沖縄で、2試合連続優勝を飾った。
「宮里」でもなく「選手会長」でもなく、「沖縄に帰ればみんな“優作”と呼んで応援してくれる。それも嬉しかった」と、早くも今季2勝目で、賞金ランクは1位に浮上!
今回ばかりは“優作”で、統一させてください。
いま、男子ツアーは優作が、間違いなく一番ちゅーばー!

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