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ダンロップ・スリクソン福島オープン 2017

ジュニア育成プログラムを実施

この日は、あいにくの雨さえも、福島の子どもたちには何よりの教材だ。スタート前に、顔合わせをかねた練習場でのレッスン会が悪天候で中止となり、雨中のラウンドレッスンは、ぶっつけ本番となったがそれもまた一興である。

「あいにくの雨ですが、楽しみながら一緒にラウンドするプロに、色々質問しましょう!!」とは中嶋常幸。
大会が誇るベテランのホストプロの第一声が、曇天の空を明るくしてくれる。

復興と地域活性化と、ジュニア育成を3本の柱に掲げる今年4回目の「ダンロップ・スリクソン福島オープン」は、まずは中嶋をはじめ、豪華絢爛プロゴルファーが今年も地元ジュニアをおもてなし!

大会週の24日に今年も「ジュニア育成プロ交流プログラム」が行われた。
先月24日のジュニア大会で、上位入賞した15人のジュニアたちが共にラウンドで、一流プロの技術や心構えを学んだ。
そのあとの交流パーティではトッププロたちと楽しいおしゃべりで、触れ合いの時間を楽しんだ。

今年の参加プロは、若い顔ぶれが揃う中でも、新顔の出水田(いずみだ)大二郎は、ひそかに羨望の的。これから大注目の新イケメンプロは「凄い飛ぶのにフェアウェイをキープして凄い」と、ジョシたちの目もハート。「カッコいい」と褒められ照れながらも「みんな僕の小、中学時代よりもずっと上手。これからもまわりの方や、両親に感謝の気持ちを忘れないで頑張ってもらえれば」。

昨年覇者のゲンちゃんは、いま一番、ジュニアたちに伝えたいこととして、色紙に「挨拶」と書いてきた。
高校から強豪の沖学園に進み、部活動を通じてさまざまなことを学ぶ中でも、今の自分にもっとも生きているのは「挨拶」だという。
「高校卒業後にプロの世界に入らせてもらい、テレビでしか見たことのないプロの方々とプレーさせて頂く中でも一番大切と感じたのも挨拶でした。プロになってもならなくても、どんな世界でも、挨拶は大事だとみなさんには伝えたい」とはいかにも、昨年の今大会で悲願のツアー初V後も変わらず謙虚な選手らしい。

そんな時松隆光の、子ども達への実直なスピーチとは対照的に、いつもカラっとあっけらかんは古閑美保さん。
「今日のような雨の日。調子が悪いとき。ミスをしたとき。良くしたい、良くしたいと思ってもダメ。そんなときこそ忍耐、我慢。耐えて、耐えて、耐えて私は賞金女王になりました。耐えて、耐えて耐えて…結婚も出来たのかな」と子どもたちの前でも包み隠さず、最後はやっぱりそちらの方向に持っていくのはさすが…?!

これには中嶋も抱腹絶倒で、「美保がずっと耐えてるなんて誰も思ってないんじゃない? 美保はいつも“幸せ、幸せたまに我慢”じゃないのかい?!」と笑って突っ込みながら中嶋は、子どもたちに「練習こそ上達の近道」と説いた。
個性を主張する前に、まずは徹底した基本練習の重要性を子どもたちに訴えた。
そして「強くなるためには、悔しい思いをすること」。
弟子の畑岡奈紗さんは、いまアメリカで武者修行中だ。「いまアメリカで、苦労していると思う。そこから自分で学んで工夫して、力にしていくしかない。料理の味は、口で説明しても分からない。でも自分で食べたら味が分かるでしょう? ゴルフでも、なんでもホンモノを見て、自分で勉強することが大事。悔しさをバネにして、みんなから愛されるプロになってください」。

子どもたちへの最後の締めの言葉ははからず、いま奮闘中の愛弟子へのエールと重なった。

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