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日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯 2016

武藤俊憲が首位を死守

最終的には3打差で首位を守ったものの「今日は正直きつかった。出だしはやらなくてもいいミスをして、バタバタ」と、最初の4ホールで前日2日目の貯金は、あっという間に消えた。

「3番では、まっすぐかフックと思ったパーパットがスライスして、4番も右のフェアウェイに打ったつもりががラフに入って、おかしいな、おかしいな、であっという間に4ホールが終わっちゃった」と茫然自失だ。

初のメジャータイトルをかけて、折り返した週末。「勝ちたいな、ではなくて、スコアを崩したくないなという気持ちで行ったのがこの結果。ナーバスになっていた。どこかで“パーを獲っていれば”という甘さがあった」と、反省しきりだ。

毎日ホールアウト後に行われる大会主催の公益社団法人日本プロゴルフ協会の倉本昌弘会長が会見で語る、1日の総括。
「我々が、想定していたスコアよりも3打良いのは、武藤くんのアルバトロスの分」。2日目の8番パー5で255ヤードの2打目を直接入れた。2日目にして大量リードは、あの奇跡の1打があったおかげと本人にも覚えがあれば、気持ちはすぐ切り替えられた。

最初の4ホールで3オーバーを打って、ようやく計算が合った気になった。「もともとあってなかったようなもの。アルバトロスの分が無くなって、想定内に入ったということ。無くなったほうが、良かったのかな」と、むしろ吹っ切れた気持ちになった。
5番は、「気持ち良く打って、気持ち良くついてくれた」と、右の林をよけてピンそばのバーディで、ひとつ奪い返して「気持ちが楽になって、ここからなのかな」と、やっと前を向けた。
「2人がいいプレーをしていた中で、一人ぐずぐずしていたんじゃ情けない」と、後半は、猛然と追いかけてきた谷原と、宋(ソン)との激しいバーディ戦にも加われた。3人で入れて、入れ返して「面白かった」と優勝争いらしい白熱したゲームを楽しむ余裕も、取り戻せた。

最後は、奥のカラーから7メートルのバーディトライも、「打って、顔を上げた瞬間に、ラインに乗っていた」と、しっかり決めた。「リードはいくつあってもいい。そういう意味で、思わず出たガッツポーズ」と、右の拳を振り下ろした。

最終組の、1日の戦いぶりを見ていた倉本会長は「武藤くんは、かなり緊張してたが、逆に今日、それが出たからいいのかな」と言った。前日2日目の大量リードがあったからというわけではないだろうが、「今日は、かなりピンの位置を緩めた」と、谷原の65の追い上げや、ハン・リーの1日9アンダーは、主催者が意図した通りの展開でもあった。

「やっと、これで上と下が詰まってきて面白くなってきたのかなというところ。明日は、またピンの位置を厳しくしたい」(倉本会長)と、主催者は再び虎視眈々と最終日の策を練るだけに、その前に本人も「良い意味で、今日の出だしのバタつきが、予行演習になったかな」と自覚出来た3日目は、これぞメジャー制覇の重圧というものか。
「でもそれは、勝ってから分かること。勝つ前から考えてもしょうがないですね」。最終日こそ、無心でタイトルを掴みに行く。

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