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日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯 2016

2週連続Vのメジャー初制覇で谷原よ。世界にも、食ってかかれ…!

最終日もカップヌードルのCMどおりの展開になった。「HUNGRY to WIN」。最終組の誰もが勝ちたい欲を剥き出した。3人で、主催者が想定した優勝スコアをはるかに超えた。
「我々のセッティングで予想したのは4位のスコア」とは、公益社団法人日本プロゴルフ協会の倉本昌弘会長だ。

「最終日に3人が3人、こんなスコアを出すのは本当に素晴らしい」と、称えたとおりにこの日、3人で奪ったバーディは合計で26個。「俺もこんな伸ばし合いは、やったことがない」と谷原にとってもまさに、史上に残るV争いは、特に3打差首位から出た武藤には、2日目の16番から数えて“8連続バーディ”を食らって「この人、何やってんだ」とさすがに呆れた。
「キツいなあ・・・と思ったけれど。そこでくじけるわけにはいかなかった」と、3人の誰もがメジャーの初タイトルに挑みかかる中でも最後の最後まで、ひるまなかった谷原の欲望が、誰よりもまさったということだ。

逃げる武藤に、心の雄叫び。「楽には勝たせねえぞ、この野郎!」とまさに、食ってかかった。この日は、雷による2度の競技中断も、谷原の熱い思いを止めることは出来なかった。385ヤードのパー4は、ワンオン狙いの14番で、ティショットが忽然と消えた。懸命の捜索中もその直後の2度目の中断中に、池に入っていたと知らされた。
「さすがに、ショックだった」。再開を待つ狭い車中は、寒さも手伝い「腰はかちんこちん」。体は強ばっても、心は熱いままだった。

再開直後の打ち直しの3打目は、110ヤードから52度で50センチにつけた。武藤はバーディで、再び4打差つけられても「全ホールでバーディを獲れば追いつく。ぜってーに、最後まで苦しめてやる!」。
キャディの石井恵可さんと「あとは気合いだけだ」と、確認しあった。17番は7メートルのバーディトライも「5発打っても、一発も入らないパット」と知りながらも「これを入れなきゃ終わりだ」と、執念でねじ込んだ。

「最後まで、諦めない気持ちでやったら9バーディが出た」と、3日目にハン・リーも記録したコース新の63で追いついた。
プレーオフの2打目は、深いラフの林の中から迷わずにスプーンを振った。2メートルのパーパットで、ついに武藤をねじ伏せた。
先週から2週続きの北海道は今週もロープの外から聞こえるファンの歓声も心地よかった。「みんな俺たちのプレーに“すげー、すげー”って」。史上稀にみる白熱のV争いで、我こそが頂点に立って「ホンっと嬉しい」とやっと、張り詰めていた糸をほどいた。長丁場の最終日を戦い終えたころには、すでに17時をまわっていたが「こんなに遅くまで、たくさんの方に残っていただいて。最終的に、勝てたのが俺で良かった。ファンの方に喜んでもらえるプレーが出来たのも良かった」と、タニさんスマイル。

先週の「長嶋茂雄 INVITATIONALセガサミーカップ」でツアー通算12勝目をあげても、その中にひとつも日本と名の付くタイトルがないことが「寂しかった」と振り返る。第84代目のプロ日本一の称号は、ツアーで自身が2007年(※)に達成して以来の2週連続Vというのもまた「一生に残る思い出になる」と、格別な思いがする。

「カープも勝ち続けて、50勝目を上げたしね。運もなきゃ勝てない。広島も盛り上がっているし、これで気持ち良く旅立てる」。
翌11日月曜日の朝には、日本を発つ。次週は、自身5度目の全英オープン。先月は、全米オープンでも連日の競技中断を食らって、その点では「今日、一番のベテランだった」と世界での経験豊富に胸を張っても、体はヘトヘト。
こうなれば、いっそイギリスでも日本のゴルフファンを道連れに、興奮の渦に巻き込む。2006年のリバプールでは、5位タイに入った。「今年もみなさんを時差ボケに出来るくらいに頑張ってきたいと思います」。
先週まで大きく水をあけられていた。たったこの2週で6000万円を積み上げて、留守中の金庚泰 (キムキョンテ)にも食らいつき、賞金ランクは1位に踊り出た。
「ポンポン、と勝って追い抜けて行けるのは、非常にいい」。
優勝副賞のカップヌードル10年分を餞別に、谷原よ。世界にも、食ってかかれ!!

※谷原は2007年にもフジサンケイクラシックとサントリーオープンで2週連続優勝を達成しています。

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