Tournament article

フジサンケイクラシック 2016

秋吉翔太はまだ見ぬ子のために!

初出場の富士桜。富士山からの目を読み切った。5メートル以内のチャンスは、ひとつたりとも逃さなかった。13番では15メートルもの長いバーディトライも沈めて、5つのバーディで、3位タイと好位置につけた。

昨季のチャレンジトーナメントは、“賞金王”の森本雄と最後まで競り合い、賞金ランク2位に入った。レギュラーツアーは2年連続の本格参戦で、“リベンジ”の初シード入りを目指すも、まだ賞金ランクは91位と、もたもたしている場合じゃない。

一つ年下の彼女が妊娠していることが分かったのは、今年5月のミズノオープンの時だが、それでも彼女はシード入りを目指して頑張っているカレシに遠慮して、なかなか言い出せなかったらしい。
「聞いたときは驚きましたけど、嬉しかった」と、26歳の未来のパパ。これはうかうかしていられなくなった。

出産予定の12月には来季のツアー出場優先順位をかけたファイナルQTがあるが、「ぜひ立ち会いたい」と、誕生の瞬間を見届けたいなら「QTに行ってる場合じゃない」。それまでにしっかりと、初シード入りを確定させておかなければならない。
「頑張らないといけません」と、やにわに湧いてきた父親の自覚だ。

先々月の「ダンロップ・スリクソン福島オープン」では九州勢として、ジュニア時代から切磋琢磨を続けてきた時松隆光がツアー初優勝を飾り、秋吉も18番グリーンで水シャワーの祝福に駆けつけながら、「俺も」との思いを強くしたばかり。

また前日31日には熊本県で、再び震度5弱の地震が起きて、余震におびえる地元のみなさんに「良いニュースを」と、改めて胸に誓った。

今年から新しくしたドライバーのスウィートスポットが、下方部にあることをようやく知ったのが、先週。打点を意識して打つように
なったら、たちまち20ヤードも飛距離が伸びて「今日もほとんどフェアウェイから打てた」。昨年は飛んで曲がらないことを証明する部門別の「トータルドライビング」でランク2位につけた自慢の精度も再び戻ってきた。

鹿児島県の樟南高校時代は、2008年に国体の少年男子個人で一つ下の松山英樹を破って優勝を飾った。石川遼の活躍に刺激を受けて、2009年にプロ転向を決意した。
生まれてくる男の子のためにも、そろそろ結果を出しても良い頃。
「残り3日も気を抜かずに、プレーしたい」と、未来のパパが気合いを入れ直した。

関連記事