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関西オープンゴルフ選手権競技 2016

近藤共弘は最終ホールのトリプルボギーも

通算8アンダーまでスコアを伸ばし、首位と1打差まで追いついた最終ホールで悲運が待っていた。ここ橋本カントリークラブのフィニッシングホールは187ヤードのパー3。7番アイアンのティショットは、「クラブが開いたのと、縁石に当たったのと。オマケがつきましたね」。
確かに、右には曲げたが悪くても、池ポチャのボギーで済むはずが、「カーンと当たって、右に跳ねて、池を越えた」。隣の10番ティさえ飛び越えて、ラフに消えたがまさかそこにOBゾーンがあったとは。

ホールの両側に目につく白杭は、「精神的にはイップスみたい」。それこそ1打1打に神経を研ぎ澄ませ、「全ショットでこんなにドキドキすることもあまりない」。針に糸を通す思いで、そこまでどうにかボギーも打たず、やっと迎えた最終ホールで最後の最後に、罠にハマッた。

一度はグリーンまで下りてきて、そこでようやくOBだったと分かった。
再びティーインググラウンドに戻って、打ち直しの3打目は、大きくピンをオーバー。3パットのトリプルボギーで、通算5アンダーは3位タイに沈んだが、近藤にさほどの動揺はなかった。

上がってから、デビュー時から世話になる田中秀道にも慰められた。
「本当ならボギーで上がれていたところ。しょうがない。アンラッキー。また明日から頑張れ」と、クラブハウスで耳打ちされて気丈に頷く。

「ショットのイメージは悪くないから」。今週からシャフトを替えて、4分の1インチ長くして、従来よりロフトを2度立てたアイアンは、「1番手以上も距離も出てるし、球もねじれることがない」と、手応えもある。

41年ぶりにトーナメントが開催されるここ和歌山県には初めて来たが、初日から大勢の地元ファンが駆けつけ、高低差のキツいコースにもかかわらず、大勢の人がラウンドについて歩いてくれる。

「みなさん、本当に楽しみに観て下さっているので。本当にありがたい」と、今年の選手会副会長としては、感謝こそすれ、7番では2度のクシャミを聞いてから、「もう大丈夫」とアドレスに入った瞬間に、お客さんに3度目のクシャミをされても、神経質になるわけもない。
「3回目が来ましたね」と、ニッコリと仕切り直して、むしろ10メートルのバーディで盛り上げる気持ちの余裕もあった。
最終日を前に、結局首位と5打差がついてしまったのは、本当に残念だが「今日だって、最初から差がついていたし、別に上とか狙っていない」と、サバサバと上がってきた。
「明日もまた、今日みたいなプレーでお客さんを盛り上げたいけど、コース的には盛り上がっていけない」と、最終日もまたOB杭との戦いが待っている。「それでも気持ちでは負けないように。明日もまたコツコツ、ビクビクしながら、全ショットを打っていく」。再び無欲のサンデーチャージが見られるか。

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