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    ZOZO CHAMPIONSHIP 2024

    この6年でZOZOが与えてくれたもの。最終回を戦った選手たちの思い

    日本でPGAツアーが見られる。
    2019年に、大手ファッション通販サイト「ZOZO」が立ち上げた日本初開催は、初回から刺激的だった。

    タイガー・ウッズの最多82勝に、2位で食らいついたのが、日本が世界に誇れる松山だった。
    その後に続くマスターズや大会初制覇(21年)や、今年の通算10勝目やパリ五輪の銅メダルなどなど…目覚ましい偉業の数々は、今更言うまでもない。


      20年の米国開催から5年連続5回の出場を果たした金谷拓実(かなや・たくみ)は大会を通じてそれらを目の当たりにし続け「僕らに夢や希望を与え続けてくれた試合」と、振り返った。

      7位に入った21年大会は大学先輩の松山さんの優勝も目の当たりにしました

        日本のコースで、PGAツアーのセッティングが経験できる。
        日本にいながらにして、PGAツアー選手と同じ環境で戦い、今の自分の力を計ることができる。

        それが、JGTOの選手たちにどれほどの影響を与えてきたことか。

        4位につけた昨年大会に続く、2年連続4回目の出場チャンスをもらった石川遼は、「ZOZOさんが日本開催を決定してくださったタイミングから、世界を目指す選手が増えた」と、回顧する。

        PGAツアーの選手たちと並んでサイン会に励みました


          実際に、21年から出場を続けた久常涼(ひさつね・りょう)は、そこから破竹の勢いで今季PGAツアーのシードを獲得し、プロ転向の22年に12位の成績を残した中島啓太(なかじま・けいた)は昨季日本の賞金王の資格で今季から欧州・DPワールドツアーを転戦し、一昨年の同賞金2位の星野陸也(ほしの・りくや)と共に、欧州初制覇。

          ZOZO所属の大西魁斗(おおにし・かいと)は、米二部コーンフェリーツアーを経て来季のPGAツアー昇格を実現させた。

          「ZOZOさんの影響はすごく大きいな、と思います」と、石川は言いきった。

          昨年6位に入り、石川と共に次戦の「ワールドワイドテクノロジー選手権」の出場資格を得た平田憲聖(ひらた・けんせい)は今年は賞金1位と、さらに大きく成長して大会に入ってきた。

          久常(右2番目)と共に6位に入った昨年大会


          結果は46位に終わり、「まだまだ足りないとこだらけ。去年は良かったですが、今年に関しては何一ついいなと思える部分がなかった」と、落胆するが、悔しい経験も次への糧。

          目下、目標は賞金王と、PGAツアーへの挑戦だ。

          「この大会で、今年も課題やパワーをもらえたので、ここからまた心新たに頑張ります」と決意を語り、「PGAツアーはそう簡単には出場できない中で、これだけ日本人の枠を設けて、チャレンジの場を与えてくださった。海外にも挑戦したいな、というきっかけにもなり、とても感謝しています」と、謝礼を述べた。

          今年は対象試合最終戦の「日本オープン」で優勝し、滑り込みで6年連続の皆勤出場を果たした今平周吾(いまひら・しゅうご)は毎年、クラブハウスの選手専用ダイニングも楽しみにしていたという。

          「ほんとうにすごく美味しいんです」。
          普段、口数の少ない選手も饒舌にするほど美味だったらしい。

          選手や、ファン、特に子どもたちに向けた細やかなホスピタリティもまた秀逸だった。

          ジュニアプログラムやキッズエスコートなど体験会もふんだんに行われてきました

          今平と共に、6年連続6回の出場を続けた小平智(こだいら・さとし)は「僕がアメリカで勝った(2018年RBCヘリテージ)翌年からちょうど大会は始まったんですよね」と、述懐する。

          初回の2019年はウッズとのラウンドも、忘れられない思い出だ。



              「そこから毎年、出させてもらって。いつも苦しい時期に、良いきっかけをもらっているのがこの大会です」と、振り返る。
              特に12位に入った昨季は次戦の「ワールドワイドテクノロジー選手権」の出場チャンスを得て、翌シーズンへの大きな足掛かりとした。
              「まさに、僕はこの大会に成長させてもらってきました」と、感謝に堪えない。

              「今年で終わってしまうのはすごく残念ですし、とても寂しいですけれど。これからもまた頑張って、どこかで優勝する姿を見せることで、この6年間の恩返しができればな、と思っています」(小平)。

              大会は惜しまれながら閉幕するが、PGAツアーは日本開催の継続に向けて、すでに動き出しているそうだ。

              ラストイヤーを制したコロンビアのエチャバリアは「この素晴らしい大会、日本という素晴らしい国で優勝できたことが嬉しいです。日本のファンのみなさんは最高です」と、Vスピーチで感極まった。


                PGAツアーの選手たちも例年、この大会での日本プレーを楽しみにしてくれていたのは、毎年熱心に会場のアコーディア・ゴルフ習志野カントリークラブに足を運び、選手たちに大きな声援を送ってくださったファンのみなさんの功績も大きい。

                「ZOZO」の澤田宏太郎・社長は「この大会で人と人とのつながり、出会いというものを演出できた。"礎(いしずえ)”が出来上がったと思っております」と、表彰・授与式でスピーチされた。
                まさに、おっしゃる通りだ。

                この6年間、男子ゴルフへのご理解と熱いご支援をほんとうにありがとうございました。
                選手、JGTO関係者一同、心より厚く御礼申し上げます。
                そして引き続き、JGTO選手たちへの応援を何卒よろしくお願い申し上げます。

                ※金谷選手の出場回数に誤りがございました。お詫びして訂正いたします。申し訳ございませんでした。