ブリヂストンオープンは水曜日恒例の公開練習日も、筋肉痛の体がむしろ心地よい。賞金王として迎えた今年は序盤に海外メジャーを行ったり来たりのスケジュールに加えて、秋は9月からの連戦でしばらくご無沙汰していた鬼の筋トレを、前日火曜日から再開したのだ。

「腹が立ったから」という。
まさに怒りの筋トレは、先週の日曜日が契機となった。日本オープンの最終日にアダム・スコットと、2人1組の2サムラウンドで相まみえて、スタートの1番から屈辱を味わった。

相当の気合いをこめて、精一杯に振りちぎっても、「アダムに40ヤードは置いて行かれた」。あまりの大きな差には笑いさえこみあげてくるほどで、悔しくてたまらなかった。「腹が立って。俺はやる、と」。近頃、やたらとドライバーが散らばるなあ、と感じていたのは、気のせいではなかった。
「体が疲れて、下半身が弱って、ブレているからだ、と」。
飛距離が自慢のはずだったのに、それさえ影をひそめて、「最近では、下り坂を下りるのでもつらかった」。そんな自分に甘んじていた。アダムとの直接対決で、思い知らされた。
「せめて、その差を20ヤードくらいにまで縮めたい。諦めたくない」。
さっそく1日40分ほど集中的に、体をいじめ抜いて、「昨日の夜は、あまりの筋肉痛で、眠れなかった」と悲鳴を上げたが、いざコースに来ると、さっそくその効果のほどを実感した。
「今日なんかは、どっしりと振れている」。この調子だと、当初の計画どおりに「3週後くらいには、結果を出したい」。

昨季、初の戴冠も今年はまだ1勝も出来ずに、連覇がかかった今週もさぞやと察したが、意外にも孔明はさばさばとしていた。
「今週は自然体でやろうと思う。コースは嫌いじゃないし、普通にやれば上には行けるはずなので」。この日水曜日も午前の9ホールをこなしたあと、早々に引き上げて、「今からまた腹筋、背筋と････」。課題のメニューをこなして開幕直前まで黙々と体にムチ打つ孔明だ。

• 小田 孔明
• Ａ・スコット