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3期目の選手会長が今季初V、大会2勝目

「RIZAP(ライザップ)」が特別協賛についた初年度の今年、みごと結果にコミットしたのは3期目の選手会長。出だしこそティショットを右に曲げ、ボギー発進も昨年の賞金王相手に、“一振不乱(※)”に5打差の圧勝を飾った。自身3度目の完全Vで、大会は6年ぶりの2勝目をさらった。

誰よりもファンサービスを大事にする男がこの日、一番の見せ場を作ったのは14番だった。3日目に続いて、ティグラウンドが前に設定されたパー4は、池田の実測でピンまで315ヤード。

前日も、もちろんワンオン狙いも3日目はグリーンの奥にこぼして、逡巡した。「今日は昨日より、ピンが5ヤード手前で。ドライバーで、そこまで振りちぎらなくてもいいんじゃない? でもショートは嫌だし」。思案の末に、「昨日より、少し高めの球にして打った」。見事にピンまで1メートルをとらえた。残暑の芥屋が、ドドっと沸いた。イーグルパットも難なく決めて「あれは男子っぽく、魅せられたんじゃない?」と、自画自賛の1打が今季1勝の決定打となった。

「これでやっとスタートラインに立てる」。昨年以上に周囲の反対を振り切って、3期目の会長職についた今季は5月に父親代わりの祖父・直芳さんを亡くして「俺も、家族もこれまで本当に色々あった」。直芳さんは「ゴルフの父」と言いかえてもよく、最愛の人を失った悲しみは、「言葉には、言い表せない」。ときどき仏壇の前で、ひとり延々と語りかけてみたり、尽きせぬ思い出に浸ってみたり。

「しかしそうは言っても自分はゴルフをしないといけないわけで」。そうは言っても、投げ出すわけにもいかないわけで。「今年、集大成の年にする」と大見得きって引き受けた。3期目の会長職は「立場が立場だし、休みますって言えないし。本当にいろいろと複雑だった」。

それだけに、3年前に起ち上げた。プロが主催者をもてなす「サンクフル主催者ゴルフ懇親会」をこの8月に無事、やり遂げたときにはひとつ、やっと肩の荷が降りた気がした。
選手会長として取り組むべき事項、やってみたいことはまだまだ山積みだと思う。それでも、今年をひとつの区切りと決めたのは、このまま漫然と続けていくには、限界を感じたから。

「同じ人間がダラダラやっていても意味がないんだ」。いったん、他の選手に重責を預けて風を入れる。「安倍首相じゃないけれど。一回、身を引いてサイクルを作るべきだと」。
与えられた3年という期限だけで考えれば、悔いはない。男子ゴルフ界を少しでも良くしようと自分なりに、身を粉にして働いた3年だった。「皆さんに伝わっているかは分からないけど。本当に、一生懸命やってきたつもりです」。
3年前に、史上最年少の就任を果たして冒険が出来るというメリットと、その反面、若さゆえの弊害も内心では感じていた。「やっぱりね。俺の歳じゃ先輩方にも言いたいことが、なかなか言えなかった」。
この3年をいったん区切りに、会長職はもっと経験とキャリアを積んでから、きっとまたいつか復帰するとして、今季これから残りのシーズンは、20代最後の年を本業で全うするつもり。

そのためにも、早く最初の1勝が欲しかった。祖父を亡くして「俺のおふくろは俺なんかより、もっとつらいわけだし」。悲しみに沈む家族のためにも出来るだけ早く勝ちたかった。「やっぱり俺が優勝することで、みんな安心するんだろう。みんなに笑顔も戻るんだろう」。
何より、これで天国の祖父に、やっと良い報告が出来る。ついこぼれ落ちそうな涙をこらえて、前を向いた。

まずは、選手会長として今季初Vの優勝スピーチだ。「主催の九州朝日放送と、テレビCMで大注目のライザップさん。スポンサー離れのここ数年。特別協賛として、僕らと同じ気持ちになって、ツアーを盛り上げていただけるのは本当にありがたい。選手を代表してお礼を言います」。

今週は火曜日に、台風15号の直撃を受けながらも、そんな被害をみじんも感じさせない芥屋のグリーン。「キーパーのアンドリューさんをはじめ、コースのみなさんのご尽力にも、心から感謝します」。

そして、残暑に負けないくらいに熱い、熱い福岡のゴルフファンのみなさんへ。「ご声援が、本当に力になりました」と感謝の声を張り上げた。「これから男子ツアーも秋の陣。どうか今以上のご声援をお願いしたい」と、頭を下げた。
「この1勝を機に、私もさっさと次の2勝目をあげて、ただただ上だけを目指して頑張ります」と、誓った。これで賞金ランクも、やっと9位に浮上して、「最後まで諦めない」。3年目の選手会長の目標は、あくまでも最多勝利と自身初の賞金王獲りだ。
「これからは勝ちたい試合だらけなので。この1勝で、ついた自信を前面に押し出して行く」。コースでこそ存在感を示すのが、選手会長の本望だ。

※一振不乱・・・今年の大会スローガン。出場選手全員がそのひと振り、一打に心乱すことなく最高のプレーを見せる様を表したもの。しかし、選手たちは今年から冠スポンサーについた「RIZAP(ライザップ)」のテレビCMで話題となった「結果にコミット」というフレーズのほうがお気に入りで、取材を受けた際にも好んで引用する選手が続出した今年の大会でもあった。