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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2014

今年はケガに泣いた武藤俊憲が最後に笑うか

大ピンチを、最高の形で乗りきった。541ヤードの6番パー5。「力が入った」と、第1打を左にOB。打ち直して4打目は、238ヤードで4アイアンを握った。ピン左10メートルを捉えたが、「まさか入るとは思っていない。これでもかというくらい、曲がるスライスライン」。
ど真ん中からねじ込んだ。“OBイーグル”で、命拾いをした。
「他にももっとチャンスがあった」と悔しがるが、次の7番では7メートルが決まり、8番は奥から6メートルが決まった。しのいだ6番をさらに生かす連続バーディで、2年ぶり6回目の頂上決戦は今年もまた優勝争いに加わった。

今シーズンは「こけて、ケガして、いろいろあった」。5月の大会で、コースの窪みに足を取られて転倒。靱帯の断裂など、全治6週間のケガを負った。しばらくはまともに歩くことも出来ずに、やっと8月に復帰してきたといっても、練習もトレーニングもろくに出来ない日々が続いた。

やっと、戦える状態になったのが10月。「試合をする準備が出来るようになって、ゴルフになってくればくるほど、スコアが出て来る」とケガの回復とともに、結果を出し続けて先週まで3週連続のトップ10入り。
「そろそろ、なんかあってもいいくらいのゴルフの内容」と、いよいよ今季のラストゲームでも、36歳は自信に満ちている。

月2回のリハビリは、ちょうど今週の月曜日。担当医師には「患部の熱っぽさも取れて、良い状態」と、安心の診断ももらった。9月には、自宅近くの神社でお祓いも済ませて今年の厄も落としてある。
今大会はこれで6度目の出場で、4回目の最終日最終組。ベスト10入りは、5回中4回という相性のよい大舞台で、ケガに泣かされた2014年を、最高の形で締めくくれるか。
「去年の優作みたいに、ドラマがあるのがこのJTという試合。勝つには運。自分のやることをやって結果が出るか出ないか」。最後に幸運を掴んで、今年こそ武藤が物語の最後に主役を張れるか。

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