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ブリヂストンオープン 2014

竹谷佳孝は、勝ってもう一度、あの舞台へ!

34歳にして、初出場の今大会。「そうなの? ここはバーディ合戦なの?」と、その認識もないままに、名乗りをあげた。ボギーなしの66で上がってきてぽつりと、「前は、得意ではなかったんだけど」。

以前はどちらかというと、得意の小技でしのいで、我慢をするタイプ。しかし、今季は6月にツアー初優勝を飾った気持ちの余裕か。今年9月には、I・H・ホが史上最多アンダーを記録したことでも知られるように、やはり熾烈なバーディ戦で名を馳せる「TOSHIN GOLF TOURNAMENT IN Central」で、極意を掴んだ。

スコアが出る大会では、あえてバーディを取りに行かない。「前は取りに行かなきゃいけないと、力が入って、それが悪い連鎖を生んでいたけど、たとえバーディ合戦でも、自分に出来ることは、限られているから」と悟りの境地。

今は、行きたい自分の気持ちを抑えて、チャンスを待てる。「たとえバーディ合戦でも行かなくてもいいと、今は思えるから気持ちが楽になった」と好スタートを切った。

下積みが長かった分だけ、5年シードのメジャーを制しても、この人は以前と何ら変わらず、今週は例年、ちょうど日程が重なっているチャレンジトーナメントの最終戦「JGTO Novil FINAL」のスコアチェックもぬかりない。

昨年まで自身も主戦場にしていた舞台は一足先に、賞金レースの決着がつくが「どんなステージでも賞金王が決まる瞬間は、とても楽しみ」。
また、かつての主戦場には親友や先輩の活躍も大いに気になるところで、「沖野さんも頑張っている」と目下“賞金ランク”は4位につける、同じ広島出身の先輩の動向にも注目している。

今年はこの週に、自身は初のレギュラーツアーの参戦も「このステージで戦えるのは幸せだけど、与えられた場所で全力を尽くすのは同じで、やっとここに来られたとかいう気持ちは特にない」と、特別な感慨もないが、常に平常心の竹谷がちょっぴり目の色を変えたのが、今大会の勝者の特典だ。

出場権が与えられる世界ゴルフ選手権「ブリヂストン招待」はやはり、竹谷が初Vをあげた「日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ Shishido Hills」の優勝特典でもあった。

この夏、初めて乗り込んだ大舞台は、圧倒的な飛距離の差を痛感させられたし、手首や腰に持病の抱える身では、長距離の移動も含めて「長期の連戦は絶対に無理」と思い知らされても、年に数度は参戦する価値は大いにあると感じた。アダム・スコットを見ても、マキロイを見ても、その豪打には度肝を抜かれこそすれ、「僕は僕です」と、マイペースで戦うほのかな自信もついた。
「僕もあれくらい飛べば、ショートゲームは遜色ない」とのひそかな自負も芽生えて帰ってきた。
「もう1回、行きたい」と、そういう意味でも袖ヶ浦で初日の好スタートは、願ってもないチャンスだ。

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