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〜全英への道〜ミズノオープン 2013

ブレンダン・ジョーンズが大会2勝目、自身4度目の全英オープンへ【インタビュー動画】

2001年の本格参戦から12年が過ぎて、「僕もここまでよく成長したものだと思う」と、しみじみと噛みしめるツアー通算13勝目になった。このミズノオープンで、ツアー通算4勝目をあげたのは、29歳のとき。「まだあのときは、僕も勝ち星が少なくて」。ただ無我夢中で、とにかく1勝、1勝が純粋に嬉しかったものだが、順調にキャリアを積み上げ再びここでつかんだ大会2勝目は、「また格別な喜びがある」。

貫禄勝ちだった。最終日は同じ最終組の金庚泰(キムキョンテ)と入れて、入れ返してと一騎打ちの様相にも6番でチップインイーグルを奪ったときに、すでにひそかに勝利を確信していた。「もちろん、ゴルフは最後まで何があるか分からない」。そうはいいながらも「このイーグルで、他の選手はもう、相当に良いプレーをしなければ僕には追いつけない」と、思わず突き上げた右拳。「普段、プレ−中はほとんどガッツポーズをしないんだけど」。このときばかりはさすがについ「感情が入った」という。

このホールを糧に、一時は4つのリードを奪うと終始、有利にゲームを進めた。ピンチを迎えたときほど「ゆっくり歩いた」。その間に、良いイメージを頭に描く。たとえば「昨日の18番」。2打目にシャンクを打つ大ピンチから、3メートルのパーを拾った3日目の最終ホールの感触は優勝争いの中で、冷静さを保つのにも非常に役立った。この日は10番で3メートルや、16番では5メートルなどきわどいパーセーブも再三しのいで、豪快な飛距離以上に、ベテランならではの繊細なプレーが際立った。

最後は18番ホールでも、ティショットを右のカート道のほうに打ち込んだが、ドロップして深いラフから渾身のリカバリーでフェアウェイに戻すと最後は奥から1.5メートルのバーディ締めで、庚泰(キョンテ)に3打差をつける圧勝だった。

優勝会見では、たどたどしい日本語でおどけた。「キョネン ハ チョット デブ デシタ」。今季、ずいぶんとスリムになって日本ツアーに戻ってきたのは、最近ハマっているサイクリングの副産物だ。オフは週3回で、計40キロもペダルをこいで9キロ減。90キロの大台からいまは82キロまで減らして持病の背中痛も、今年はまだ出ていないし、「僕もそろそろ40歳」。それでもまだ、6歳と2歳の息子たちを2人いっぺんに抱えても腰にも来ないし、へっちゃらだ。

2016年に、いわゆる体に支点を作って打つ「アンカーリングの禁止」が控えており、使い始めてもう13年にもなる長尺パターが使えなくなるくらいなら、「僕は引退するよ」とはそれはもちろん冗談で、幼い子どもたちのためにもまだまだ現役を貫かなければならない。
短い丈のパターでの練習も、徐々に始めており先月のオープンウィークは、ホームコースのコンペで8アンダーを記録したりと、少し自信もついてきた。「でもその次のラウンドではイーブンパーしか出なかったけど」。まだまだ試行錯誤は必要だが為せば成ると、持ち前のプラス思考で乗り越えてみせるつもりだ。

今回の優勝賞金2200万円を加えて、生涯獲得賞金8億3000万円は、日本ツアーで活躍した外国人選手の中では、1987年に賞金王にも輝いた、デービッド・イシイ(米)の8億1400万円を抜いて堂々の1位(全体では11位)に、「初めて日本に来たときは、自分でもこれほどやれると思っていなかったので」と思い起こせば感慨深い。「非常に光栄ですね」。

2005年には米ツアーに挑戦したり、一度は世界に飛び出したことで、「ますます日本が好きになりました」。アメリカに行ってしまえば、家族ともほとんど会えなくなるが、日本なら約8時間のフライトで、いつでも顔を見に帰れる。また全国各地に友人も出来て、まるで第二の故郷の気持ちで過ごせる。「今週も岡山のホンダさんや、日本のグランマのミツコさん。ほんとにお世話になりました」と、地元の恩人にも捧げる大会2勝目。

それと今大会は最上位の資格でつかんだ、自身4度目の全英切符。「数あるメジャーの中でももっとも好きな大会」という。「リンクスコースは、最高のセッティングと、最高のギャラリーと、最高づくしの大会で、ぜひ良い結果を残して帰ってきたい」。豪州出身のベテランが“日本ツアー”の代表として、健闘を誓った。

※英国ゴルフ協会のロイヤルアンドエインシェントゴルフクラブ(R&A)の次期競技委員長のピーター・アンスワース(左から2番目)は、この日本で全英オープンの予選会が初めて行われた92年以来となる2度目の来日にも、「今回は、ひとつ心残りがあります」。今週は水曜日に行われる予定だったプロアマ戦が、大雨で中止に。「ぜひこのコースでプレーがしてみたかったのに」と残念がるアンスワース氏にジョーンズは、「次に来られた際には必ずご一緒に回りましょう」と約束して喜ばれた!!

  • 6番のイーグルに続く、この日2度目のガッツポーズは優勝を決めた18番!
  • キャディのスコットさんと抱き合って喜ぶ
  • 主催のミズノ株式会社の水野明人代表取締役社長から受けた2つめのクラレットジャグ!!

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