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フジサンケイクラシック 2012

2008年に2位の岩田寛は「あれはもう4年前の話」

プロ9年目の今年は、カツを入れられっぱなしだ。まずは3月。恒例の谷口徹の宮崎合宿。「あのときは僕、絶好調で」。そこで飛び出した谷口からの厳しいゲキ。
「今年勝てなかったら、お前もうゴルフをやめろ」。
「・・・あのときは、ずしっと重かったですけど」。
いざ、ふたを開けたら5月のとおとうみ浜松オープンの10位が最高で、ここ最近は予選落ちが目立つという有り様だ。

そんな折りに先週は、ベテランの湯原信光だ。
「KBCで、初めて一緒に回った」。
にもかかわらず、たった一度の練習ラウンドで、あっさりと見抜かれた。
「お前はなんで、そのゴルフで勝てねえんだ?」。
詰問から始まった説教は、「自分を過大評価するな」とか「ちょっとのミスは、許してやれよ」とか「がっかりするのが早すぎる」等々、耳が痛いことばかり。
「初めて回って、そういうことを言われて。よほど僕のそういうのがひどかった」。
自覚があっただけに、なおさら堪えた。

そして極めつけは“師匠”だ。
父親でプロゴルファーの光男さん。
「僕は親の言うことだけはきかない」という反抗的な息子も、「親も僕がきかないのが分かっているからめったに言ってこないけど、僕はときどき心が緩む。あまりにひどいと、言ってくる」と、実家のある仙台に呼び出されて、そこは素直に従った。

先月のオープンウィークは、マンツーマンのスパルタレッスン。
いったいどんなカツを入れられたのか。
「恥ずかしくて言えない。図星すぎて」と珍しく、父親の叱責にも反省しきりの息子は、「試合になると、クラブが下から入ってくる」という近頃の悪癖も、集中特訓で本来の持ち味を取り戻した。

2007年に、平均パット数1位に輝いたパッティングも、「最近、形に捕らわれすぎていた。オーソドックスに。構えやすい形で構えよう」と、意識を変えたらたちまち上向き。

このフジサンケイクラシックは2008年に、東北福祉大でひとつ後輩の藤島豊和に、最終ホールで追いつかれ、プレーオフ1ホールで破れた記憶。「ここに来ると、今でも思い出す」。
首位と3打差の好発進にも、「あれはもう4年も前の話。悔しいとかはないけれど」と、本人は淡々としたものだが、助言をくれた恩人たちに報いるにも絶好の舞台だ。

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