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つるやオープンゴルフトーナメント 2012

韓国系アメリカ人のハン・リーが悲願達成のチャンス

この3日間は、初日からずっと“ライバル”と同じ組。「小山内さん、あの人飛ぶね〜!」。負けじと、毎ホールで小山内護と勝手に勝負。「僕もついて行こうとイッショケンメイ頑張ったけど」。結局、小山内より前に行けたのは、「昨日(2日目)の6番ホールだけ」。

それもそのはず。小山内は今週15番、17番で計測中のドライビングディスタンスで3日間平均でなんと311ヤードを記録して、堂々の1位。リーは17位(291.17ヤード)と、確かに飛距離ではこてんぱんにやられはしたが、スコアでは、2位以下さえ3打差で突き放して堂々の1位に躍り出た。

190センチの巨漢を駆使したドライバーショットもさることながら、「ピンに近づける一番の手段。大切にしている」というアイアンの距離感は、強く舞う風の中でも惑わされることなく取りも取ったり63だ。

圧巻は、後半の15番からの3ホールだった。509ヤードのパー5で残り194ヤードを6番アイアンで1メートルにつけてイーグルを奪うと、16番のパー3も7番アイアンでぴたりとつけた。

さらに17番は、510ヤードのパー5で238ヤードの第2打に対して最初は3番アイアンを握った。
すぐに、専属キャディの月森洋二さんに、ダメ出しされた。
「彼のアドバイスでスプーンに変えたのが良かった」。6メートルにつけてイーグルこそ逃したが、連続バーディで混戦から完全に抜け出した。

この日は月森さんの指摘に救われた場面がたくさんあって、「ほんとうに彼はすばらしいキャディさんです」と、感謝の気持ちも忘れない。
韓国系アメリカ人だが、「僕にとって日本ツアーは特別です。ここが第二の故郷という気持ちさえする。僕を育ててくれたツアーはここ」と、そんな思い入れも強い。

2008年の初シード入りから、初優勝は時間の問題と言われてきた。しかし勝てないまま月日は過ぎた。2010年には5度のトップ10入りで、賞金ランキングも自己最高の19位につけて「浮き足立った」。迎えた昨年の2011年は「調子に乗って足元をすくわれた」と、浮き沈みの激しいゴルフでランキングも54位まで落ちた。

そんなとき、戒めになったのは石川遼のゴルフ。「常に強気で押せ押せの姿勢。僕も常に自分に厳しくあらねばならないと思った。今の自分があるのは石川選手のおかげです」。
このオフは、例年以上に自分に厳しく、気持ちを入れ替え舞い戻った。

その2戦目で、さっそく悲願達成のチャンス。
「大丈夫。明日も今日のようなゴルフが出来れば勝てるでしょう」。強い気持ちで最終日に挑む。

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