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三井住友VISA太平洋マスターズ 2012

久保谷健一は2位タイにも「僕は日替わり定食なので」

先月の日本オープンで、劇的な逆転V。あれから、もうひと月がたとうとしているのに、この人はまだこんなことを言っている。「僕は、あの試合で勝てる実力はないですから」。
5年シードの日本タイトルも、久保谷にとっては栄誉どころか、「重圧」にしか、ならなかった。

コースや難条件というよりも、自分のスイングに悩み、不振のパッティングと格闘しながら回っていて、気がついたら勝っていた。「実感がない」と、その直後に繰り返した言葉も、あれから周囲に口々に褒めそやされて「日本オープン、日本オープンとみんなが言うので」。
ようやくいま、「本当に勝ったんだ」という実感が湧いてきたのはいいが、同時に「僕には重いです」。

メジャーチャンピオンとして、みっともないプレーは出来ないという思いにかられるほどに、「自分が勝って良かったのか」という自問自答にさいなまれているのが現状だ。

先週は、その日本オープンで勝った特典として、出場権が与えられた世界ゴルフ選手権「HSBCチャンピオンズ」に行ってきたのだが、そこでもますます自信喪失をしただけで、「何の収穫も得られなかった」とぼやく。

普通の選手なら「一流選手を見て、勉強になった」「励みになった」とか言うのだろう。
しかし久保谷は、「あのへんの選手を見ちゃったら、僕なんかプロとは言えないですよ」と、言う始末。
「スイングとか、違い過ぎちゃって・・・」。
たとえば、スペインのアルバロ・キロス。欧州ツアーきっての飛ばし屋。「あれはやばい。あれ見ちゃうと、ゴルフじゃない。もう格闘技」。
体格の大きさにも圧倒されて、「服の上からでも筋肉が見えていてとにかくデカイ。それだけで、もう勝てないと思っちゃう」と、2日目の最下位はそのせいというわけでもないだろうが、3日目からどうにか盛り返しても、何の自信回復の材料にもならない。

この日はボギーなしの67で回って2位タイにつけても、相変わらず。
「飛ぶし、ゴルフに余裕があるし、彼のアイアンが、僕のドライバーと変わらないんだもの。嫌になっちゃう。内容的にはブレンダンのほうが、断然良い」と、今度はこの日同組で回ったジョーンズを褒めそやしたあげくに「僕は日替わり定食。ハーフ49も打つ男なので、何が起きるか分からない!」。
この日もとことんボヤキ倒して終わった。


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