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とおとうみ浜松オープン 2011

すし石垣は「ゴルフが出来るだけでもありがたい」

スタート前にトレードマークのハンチング帽を脱いで、コースに向かってなにやらブツブツお祈りも、ショットに入る直前のしこ踏みのようなポーズも、本人には大マジメの“儀式”。だから、思いがけずにギャラリーの笑いを取って、不思議そうに振り返る。

「何か可笑しい?」。
真顔で聞いて、また笑いを誘う。
コースでの派手なパフォーマンスも、ただただ、この今年新規のトーナメントを盛り上げたいがため。

最終18番パー5で、7メートルのイーグルパットを沈めて、躍りまくった。ガッツポーズを突き上げて、得意満面。その雄姿を追いかけたテレビカメラにもおまけの決めポーズで、最後まで歓声と笑いを誘った。

と、そのあとすぐに我に返って室田と深堀、2人の同伴競技者に恐縮しきりで何度も頭を下げる様子にも、その人柄がにじみ出た。

一昨年の5月に続き、昨年2月に2度目の手術。右肘に出来た遊離軟骨、いわゆる「ネズミ」を内視鏡で取り除いた。特別保障制度を行使して、復活に賭けてきた。

昨年のチャレンジトーナメントで賞金ランキングは2位につけて、再び表舞台に出てきたお祭り男は、「クラブさえ握れないときがあったので。ゴルフが出来るだけでもありがたい」と、弾けた態度とはうらはらに、真摯な気持ちでコースに向かう。

一方で今週はなおさらテンションの上がる材料がひとつ。浜名湖に面するリンクス風のコースは選手の車や、各メーカーのクラブメンテナンス用のバス「サービスカー」が停めてある専用駐車場まで、池を回ってボートで送迎してもらえる。

「モーターの音を聞くだけで、興奮する」という無類のボート好きは、この日のラウンド中にもコース近くの浜名湖競艇で、翌20日は金曜日から4日間の日程で行われるレースは「うな二朗アタック」杯の準備のための点検作業の音にも素早く反応。

「食べることよりも好き」と言ってはばからないレース観戦は震災後、自粛してきたがそろそろ、ムズムズしてきた。
「プレーが終わったら、すぐ行きたい」と、気も逸る。
しかもこの日はボート界の賞金王で、地元静岡在住の菊池孝平さんが応援に来てくださった。「恥ずかしい“レース”は出来ない、と。スタートぶち込みました」と、良い刺激をもらっての好発進だった。

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