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TOSHIN GOLF TOURNAMENT IN Lake Wood 2011

原口鉄也は「僕は非力だけれど」

プロ15年目の原口もまた、今大会のホストプロ。晴れの舞台はいよいよ開幕を翌日に控えたこの日水曜日のプロアマ戦も、原口には気がかりなことがある。

和歌山県の那智勝浦町で生まれ育った。先週は、台風12号による土砂崩れでまさに甚大な被害を受けた地域だ。
テレビに映る場所はどこもかしこも馴染みの場所だった。
「毎日、あの道を通って学校に通った。そこが全滅していた」。

ゴルフの道に入るきっかけとなった叔父の練習場も水没した。
両親が住む実家は被害の大きな場所から1㌔ほど離れたところにあり事なきを得たが、それでも母の良子さんは当日、近くのスーパーに買い物に出掛けて大変な目にあった。

「着いたら、すっかり水に浸かっていたらしくて。とても営業出来ない状況だったらしい」。慌てて自宅に引き返してお母さんも無事だったのが、何より幸いだった。

それでも大勢の方が亡くなられた。
娘さんを亡くされ、奥様は未だ行方不明の寺本真一・町長は、原口が里帰りのたびに役場を訪れ、交流を深めてきた方でもある。「すごく残念で、すごくショック」と、原口も胸が痛んで仕方ない。

当地は台風の通り道で、これまでも被害はよくあったそうだが「ここまでひどいのは想像もつかなかった」と、3月の大震災に引き続き、自然の猛威に改めて背筋が凍る思いだ。

同時に、気持ちは奮い立つ。
「僕なんか非力で。僕が何かしたところで何も変わらないのだけれど」。
何かこういうときの常套句のようで、そう思うほどに情けない心地がするが、それでもあえて言わずにはいられない。
「せめてゴルフで役に立ちたい。せめてそういう気持ちを持ってプレーしたい。それが結果的に、何か地元の形になれば」。

まずはホストプロとしての責任も、まっとうするつもりだ。「ここにいる以上は集中して、精一杯のプレーを見せたい」。大好きな故郷への思いを胸に秘めてコースに立つ。

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