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中日クラウンズ 2011

岩田寛は5位タイに後退にも「明日につながる4打差」

初日に続き、今週2度目の叱責を受けたのは14番。大きく左に曲げたティショットに、フォアキャディが掲げた旗はブルーだった。
これを岩田は、てっきり「OBだと思った」。しかし実は青旗は、「暫定球を打ったほうが良い」という合図。

タッグを組んで4年になる専属キャディの新岡隆三郎さんも、「暫定球を宣言したほうが良い」と忠告した。
しかし前の13番のボギーを引きずっていた岩田は意地でも「その必要はない」。黙って3打目となる打ち直しのティショットを打った。

「でも、ボールはあったんです」。
行ってみると、最初のティショットはOB杭の内側に残っていた。しかし暫定球を宣言しなかった岩田は打ち直したボールでプレーを続けるしかなくなった。ダブルボギーに沈んだ。

「らしさが出た感じです」。
大事な場面で冷静さを欠いて判断を誤ったり、手を抜いたりするクセがあり、「今日もキャディに怒られた」という。

素振りをするのが面倒くさいという理由から、短い距離のパットをマークせずにそのまま打ち、3パットのダブルボギーに終わったのは、初日の18番。
岩田の「雑なパット」に新岡さんは、「それは逃げだ」と、激怒した。その言葉に「ハッとさせられた」という岩田は翌2日目に64を出して、単独首位に浮上したばかりだった。

そしてこの日もまた「勉強になりました」。今週2度目のケアレスミスも、初日同様に心から反省したら、あとはもうクヨクヨしない。
単独首位スタートも、3日目が終わってみれば5位タイは、首位と4打差に「こういうスコアになってしまったけれど、次につながる」と、前を向く。

最終18番では、スイングのリズムが悪くなっていることに気がついたことで、最終日を前に不安を払拭することも出来た。
「今日はパットが弱かったので、明日は強気にしっかり打つ」と、自分に言い聞かす。
14番のことは、「もうそんなに気にしていない」とホールアウト後の練習を終えた頃にはさっぱりとした表情で、「明日は伸ばせるだけ伸ばす。1番、2番とトントンと来たら、ビッグスコアも出るかもしれない」。
宮城県仙台市出身の30歳が狙うのは、逆転でのツアー初V。度重なる失敗にも、くじけない姿を故郷の被災地に見せる。

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