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三井住友VISA太平洋マスターズ 2011

最後の砦!! 谷口徹は松山さんにみすみす優勝を譲って・・・

今年の三井住友VISA太平洋マスターズは降雨によるコースコンディション不良のため、2日目の第2ラウンドがサスペンデッドとなり、54ホールでの決着となった。

規定により賞金ランキングへの加算は総額の75%となるが、主催者のご厚意により、プロには全額が支払われる。

アマチュアの松山さんが勝ったことで、1位賞金3000万円は、そっくりそのまま2位の谷口徹が受け取ることになった。

副賞のBMW車もまたしかりだ。
ありがたいには違いないが、「お金より、アマチュアに負けたことが悔しい」と谷口には当然、手放しで喜べるはずもない。
「松山に賞金を半分、あげてもいい」と、思わず言った。「車も、あいつがプロになるまで乗ってもいい」ととことん冗談で、紛らわさずにはいられないほど、19歳に完敗だった。

史上3人目のアマチュアVを阻止する最後の砦が谷口だった。2打差で迎えた最終18番は、先に2打目を左2メートルのイーグルチャンスにつけて、ガッツポーズを握り締めたのもつかの間だった。

すぐにあとから松山さんに、手前50センチにつけられて「脱帽です」。
過去2度の賞金王が、最後は圧巻のイーグル締めにも、19歳に勝てなかった。大学2年のアマチュアに「最後は引導を渡された」。今年のマスターズで日本人として初のベストアマ。「さすがですね」とあとはただもう、唸るしかなかった。

封じるチャンスはいくつもあった。「14番や、16番も。パットがもう少し決まっていれば」と悔しがっても後の祭りだ。

19歳のアマチュアに、みすみす勝利を譲って思い出されるのは2007年のマンシングウェアオープンKSBカップ。いちはやく通算12アンダーでホールアウトした15歳の石川遼に、もっとも肉薄したのが宮本勝昌。しかし、短いパットをみすみす外したあのシーン。

「宮本には、なりたくないと頑張ったんだけど」と、今度は自分がその張本人になってしまって苦笑い。
当時、彗星のように現れた石川。しかし松山さんは数々のアマタイトルはもちろん、昨年の日本オープンでは3位のベストアマなど、すでにその実力は折り紙つきだった。「ショットは飛んで曲がらない。ショートゲームも上手い。今日は危ないパットも入れてきた」。

手強さは、承知の上だった。
「スケールがデカイ選手。初めからアマチュアとは思っていない」。相手に不足はなかった。気合が入った。もちろんベストを尽くした。
「彼は、いつでもプロになれる逸材だから・・・・・・」。
そうはいってみても「やっぱり、アマチュアに負けるのは悔しい」。
このままでは終われない。
18番グリーンで、その手を握りながら松山さんに言った。「いつでも来いよ、待っている」。チャンスがあれば、次週にでも「また一緒に回りたい」と谷口は再戦を熱望した。そして次の直接対決ではプロのプライドにかけても絶対に、容赦しないつもりだ。

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