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三井住友VISA太平洋マスターズ 2011

谷口徹が「やる気満々」

“名コーチ”が自らのプレーで、その手腕を改めて見せつけた。5アンダーの67は、ピンチらしいピンチもカラーから打って3メートルのパーパットを残した7番くらい。

「言われてみればボギーなし。安全にプレーが出来た」。2位タイには「無難なスタートが切れた」。先月のブリヂストンオープンに続く今季2勝目を、さっそく視野に入れる好発進だ。

武藤俊憲や松村道央、今年でいえば諸藤将次。数々の弟子たちを優勝に導いてきた。先週は、ずっと低迷が続いていた女子を、みごと復活させた。上田桃子プロからは、しばらく前からメールや電話で相談を受けてきた。

「話すことがネガティブすぎる。最悪な状態だな」と感じていた。
悩みの深さを知るにつれて、「口で伝えるだけではダメと思った」。

電話だけで処方箋を出す医者はいない。「ちゃんと診察もしないといけない」。そう思い立った谷口は、先週は女子ツアーの会場に自ら足を運んで、直々のレッスンを励行した。
同時に「もっと前を向くように、と話した」。

その途端の優勝には、本人も鼻が高い。
「臨時コーチ? いやいやスペシャルコーチでしょう」と、胸を張る。「もともとあるものに、塩、胡椒をちゃちゃっとかけただけ」と、謙遜も交えつつ、「スパイス加減は並みのコーチじゃないけれど」と、やっぱり自慢も忘れない。

舞台は戻って男子ツアーはいま、裵相文(ベサンムン)と、石川遼の賞金レースばかりが取り沙汰されるが、現在賞金ランクは9位につける43歳の存在も、忘れてもらっちゃ困ります。

裵(ベ)との賞金差は8000万円以上。「マッチプレーでいえば、ドーミーホールに来ている」と、相当厳しい戦いは自覚しつつも「俺だって、これから3勝したら分からない。可能性はゼロじゃない。諦めない」と息巻いた。今週は開幕前にも、上田プロが電話してきて「同じ週に優勝したい」。
「まあ、ぼちぼち頑張って来るわと言っておいたけど。今日のゴルフも70点」と、まずは及第点の幕開けに、上田プロも今週の伊藤園レディスで2週連続Vを飾ればここ御殿場での師弟同時Vも夢じゃない。
「ここでの戦い方はもう心得ているし、そろそろ勝ちたい。俺はやる気満々。最終日最終組で、裵(ベ)と対決出来るように頑張りたい」と、燃えている。

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