Tournament article

ANAオープンゴルフトーナメント 2011

石川遼は91位タイスタート

大会主催のANAとスポンサー契約を結ぶホストプロが、よりによってこの大事な試合で産みの苦しみを味わっている。2オーバーの出遅れは、進化の過程をたどっているという証拠だという。

ちょうど過渡期の2年前にも同じ症状があった。体の成長と、技術の向上で、ヘッドスピードが上がった分だけ、体の回転がついていかないのである。

ジャンボ尾崎から、「インパクトを長く、フォロースルーをしっかりと取れ」とのアドバイスを受けてから約2ヶ月。
「以前に比べて、バックスイングで右足に体重が乗せられるようになった」とその点では自己評価出来るが、今度はその分の弊害が出てきた。
「練習場では出来るんです」。しかし「コースに出たら気持ちが入る分だけすごいフックが止まらないことがあって」。

この日初日はスタートの10番で結局、木に当たって戻ってきたはいいが、ティショットはいきなり左の林へ。6番ではチーピンのような球を打ち、OBすれすれのショットもあった。
輪厚の森は、ひとたびこうなってしまうと、改めて難しさを感じずにはいられない。
「木の本数は多いし密集していて上に上げられない」。
おまけに、今年は例年よりも深いラフにこの日は雨と風。「改めて感じる輪厚のコースマネジメントの難しさ。あの内容で、逆にこのスコアに収まったのがちょっと不思議」と、91位タイの出遅れも、本人にはまだ怪我を最小限にとどめられたほうだった。

飛ばし屋対決も拍車をかけた。同組の諸藤将次と韓国の盧承烈(ノスンヨル)は300ヤードを軽く超える豪打に、それでも「2人に比べると、僕のスイングはスローモーションのように感じてしまう」と上には上の存在にも「悔しかった」と自身へのじれったさが強くなる。

「諸藤さんもスンヨルも、回転のスピードで飛ばしている。僕のほうが、バックスイングも、フォローも大きいのに、スピードが違っていて。大きな円でももう少し、スピードが出せれば諸藤さんのように飛ばすことも夢じゃない」と、ホールアウト後は2時間も練習場に居座った。

「ヘッドスピードがついてきたゆえの今日の乱れ。それがこの大会で出てしまったのは残念だけど、下を向いている場合じゃない」。2年前なら「上がらず、滑ってしまう」と、硬すぎてとても使いこなせなかったトリプルXのシャフトを2日目から投入することに決めるなど、巻き返しに懸命だ。

「残り3日で必ず立て直します」。はたちの誕生日を迎える週にはなおさら、このままでは終われない。

関連記事