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ダイヤモンドカップゴルフ 2011

桑原克典は「このコースはつい、練習がしたくなる」

ホールアウトするなり、真っ直ぐに練習場に向かった。「いつもなら、そんなに行こうとは、思わないんだけど」と、42歳のベテランは笑う。調子は悪くない。「だけどなんとなく、不安になる。練習がしたくなる」。

難易度の高いコースセッティングが、そんな気にさせてくる。
「この大会は、いつもそう」。
深いラフと、グッと絞られたフェアウェーが、プレッシャーを与えてくる。
4アンダーの6位タイと好スタートは切ったが、「明日以降はフェアウェーを外したら、こうはいかない。これから先のことを考えると、ちょっと行っとこうか、と」。

どんなに予習・復習を重ねても、この舞台でこれでいいはない。「だからこそ、この大会で勝つことに価値がある」と、ひそかに闘志を燃やしている。

仲間の活躍も燃料だ。
ここ2試合でツアー初優勝が続いており、また2人とも桑原にもゆかりのある選手である。先週の小林正則は、同じクラブ契約先ミズノの後輩で、練習仲間だ。オフも、先輩の水巻善典主催の合宿で一緒だった。
「あいつの場合は遅いくらい。もっと出来る子だとも思っているし、まだまだこれから。気合入れていけ」と、逆にハッパをかけたほどだが、先々週の日本プロは「感無量」。

河井博大は師匠の田中秀道を頼り、河井が桑原の地元・名古屋に移り住んで来て以来、親交が深まった。
シード入りと、シード落ちを繰り返し、出場権さえ失いながら、それでも不屈の闘志で諦めなかった河井。
「今は遼くんとか勇太とか、若い選手の勢いにかき消されがちだけど、そうやってふいの選手が優勝することで、見えてくるものがある。どれほど苦労してきたか、またどれほど努力を続けたか。そういうのがふいにスポットライトを浴びる瞬間。やっぱり、そういうのは胸に来るよね」。

その瞬間を目の当たりにして、特に感動を覚えたのが桑原をはじめ、河井と同世代の選手たちだ。「俺たちも河井に続け、みたいなところはもちろんある」。
ここにも一人、アラフォーが負けじと栄光を目指す。

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