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中日クラウンズ 2010

福祉施設「たんぽぽ作業所」をツアーメンバーが訪問!

元気な声が届いた先には、中嶋常幸のいつもの笑顔があった。
「我々は友達だし、チームだから喜んで来てるよ。」

愛知県愛知郡東郷町にある小規模授産施設「たんぽぽ作業所」への訪問も、今年で12回目を迎える。
平成10年大会において、中嶋が1番ホールのパー4で見事にアルバトロスを達成。その賞金の一部の100万円を同施設に寄贈したのがきっかけで、この訪問が始まったのだ。
それ以来、「ここに来てパワーを逆に貰ってるから」と、11年もの間ずっと顔を見せている。

しかし、今年は参加できない可能性も十分あった。それは、1月に我々の元に届いた交通事故の知らせ。
荷物を載せていた際に、車と接触し全治3カ月の怪我を負った。現在もツアーへの出場を見合わせ治療に専念している最中だ。
施設の方はもちろん、施設の職員一同が心配を寄せた。
「中嶋さんは大丈夫だろうか。」

祈るような気持ちで手紙や寄せ書きに想いを認め、中嶋の元へと送った。
中嶋の元気な姿を見れたのは、それから2カ月後のマスターズトーナメントでの解説時。
「元気な声が聞けたので、一安心しました。」と胸をなでおろした。

今日は待ちにまった訪問の日。
中嶋はいつものように周囲の不安も吹き飛ばすほどの元気な姿を見せた。
「みなさんこんにちは!みんなからの手紙や寄せ書きが届きました。本当にありがとう!」
施設から届いた寄せ書きは、事故後に届いた手紙の中で、誰よりも早く一番先に届いたという。
みんなの心の温かさや存在を再認識する事ができた。

もちろん、この訪問は中嶋だけの恒例行事ではない。
鈴木亨・桑原克典・星野英正。それに今年から昨年初優勝を挙げた兼本貴司も「僕も中嶋さんから夢を貰った。今度は僕が中日クラウンズで頑張って、みんなに夢を与えたい」と加わった。
いつしか、毎年来るメンバーに対して訪問という言葉を使わなくなり、むしろ施設から招待する意味も込めて歓迎会という言葉を使っている。
それだけ、確かな関係を築いている証拠だろう。

27日(火)はあいにくの空模様で、施設の方のコースでの練習ラウンド観戦は中止になったが、施設で行われたビンゴゲームには熱が入った。
平仮名を使って行うこのゲームで、ビンゴになった際のはしゃぎようはこれ以上ない。
選手と握手ができ、1年間考えていた質問を選手にぶつける場だからだ。

また、選手にとっては、1年に一度しか握る機会がないというお寿司をふるまうコーナー。
慣れない手つきの選手もいるものの、手先が器用な星野英正は周りから「上手だね!本物のお寿司屋さんみたい」と絶賛され、白い歯を見せた。

お寿司を食べている間も、選手に近づき新聞記事をクリッピングしたファイルを見せて回った。
2年前の集合写真や昨年優勝した鈴木亨の記事等、今日歓迎している選手に関連した物ばかりだ。
1枚1枚めくる選手は、きっと愛情を感じた事だろう。

楽しい時間は早く過ぎるもので、1時間30分の交流会は幕を閉じた。

全員が雨の降る中、元気一杯に手を振る姿に5人の選手全員が、「また来るよ!」を言いながら負けないぐらい大きく手を振った。

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