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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2010

野仲茂は「最後に気持ちよく終わりたい」

この日初日はホールアウト後のクラブハウス。同組で回った韓国の盧承烈(ノスンヨル)が、マネージャーを通じて、野仲に礼を言った。
「今日は優しくしてもらって、ありがとうございました」。
思わずのけぞった。
「優しくって?? 別に普通にしてただけだけど」。

盧(ノ) は、ジャパンゴルフツアーメンバーだが、今季は1試合に参戦しただけで、もっぱら欧州ツアーを本拠地に戦った。

同ツアーの「マレーシアオープン」で優勝を飾り、この最終戦の資格を得たが、日本ツアーに顔見知りはほとんどなく、世界を股にかける19歳も、初出場の大会な上に、いきなり慣れない環境には多少なりとも不安はあっただろう。

そんなとき、ツアーの中でも特に穏やかな性格で、人当たりの良い野仲とのラウンドは心強かっただろう。
「いやいや、僕のほうこそ」と照れ笑い。

スタートの1番で盧(ノ)のティショットに度肝を抜いた。
「速いヘッドスピードは、音からして違っていた」。
第2打地点に行くと、案の定、自分のボールより40ヤードも前に飛んでいた。
「毎ホール、置いていかれて」。
しかも、盧(ノ)は4番から3連続バーディを奪うなど、「スコアでも、引っ張られた」。
盧(ノ)のゴルフを励みに、「出来るだけ離れずにくっついていこう」。
飛距離では置いて行かれたが、その分、打てば寄る絶好調のアプローチでボギーなしの4アンダー。結局、盧(ノ)には1打リードの5位タイと、好スタートを切った。

もっとも慣れない環境は、今大会に限っては野仲も盧(ノ)に負けず劣らずだ。
1年のチャンピオンと、賞金ランキングは25位まで(国内のみ)の選手にしか権利がないこのゴルフ日本シリーズJTカップは、8月の関西オープンで、39歳にして悲願のツアー初優勝をあげて、これが初出場だ。

初日はスタート前に、全員参加の開会セレモニーが行われる。
そのあと、少しは練習する時間があるだろう、と思っていたが「40分しか時間取れず」。

トップスタートは調整もままならずにちょっぴり泡を食った。「なんせ、慣れないもんで」と、頭を掻いた。

また、会場の東京よみうりカントリークラブは「大会の雰囲気を味わってみたかったのと、勉強のつもりもあって」と、過去に5度の観戦も、「ロープの外から見るのと、やっぱりグリーンの傾斜は全然違う」と、この日初日の実体験で、改めて難コースの印象を強くした。

それだけに、この日のボギーなしの66には「出来過ぎですね」。しかも、難しい9番、10番の連続バーディには本人こそ驚きで「明日も前のほうで、こそこそっと回りたかったのに」。
初日の賞金ランキング順から、成績順に組み替えられるペアリングは、最終組の1つ前の組になって、目をシロクロ。

開催コースの隣県の神奈川県出身で、今週の会場からもさほど遠くない、横浜カントリークラブ所属。

初日から20人をこえる応援団が駆けつけ、それもまた励みに。「みんなの前で、大崩れしないように。出来れば上位で締めたい」と、気合いが入った。

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