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ブリヂストンオープン 2010

韓国の朴宰範 (パクジェーブン)が単独首位に

今週は開幕目前の月曜日にチーム・コリアでにぎやかな祝勝会。宴会場は、大会の地元・千葉県の緑区おゆみ野にある韓国料理の「ありらん〜」。日本で戦う韓国勢を、ひとまとめに面倒見ているマネージャーの伊井祥訓さんが経営するこの店は、開催コースの袖ヶ浦カンツリークラブから車でわずか5分の場所にある。

乾杯の主役は先週のチャンピオン、金庚泰(キムキョンテ)だ。日本オープンでゴルファー日本一に輝いた同胞を、みんなで祝った。

宴席でその栄冠を讃えつつ、「僕もいつか」と、みなが金の活躍を励みにする一方で、「僕は僕。自分のゴルフをしよう」と、心に硬く誓った選手こそが、この日2日目に首位に躍り出た朴だ。

ファイナルQTランク10位の資格で初の本格参戦を果たした今季はミズノオープンよみうりクラシックで単独3位につけて、7月の全英オープンにも出場した。
初のメジャー舞台も踏んで、順風満帆に思えた今シーズンは、しかしそのあとさしたる成績が残せず、「不甲斐ない結果に落ち込んでいた」という。

このブリヂストンオープンも、前週の時点では出場権がなかった。出場優先順位で朴より上の選手が数人、控えていて本人は、「もうチャンスはない」と、諦めていた。

背中を押したのが、かの伊井さんだった。
「最後まで諦めちゃダメ! とにかく会場に行って、様子を見ましょう」。
果たして、いざ会場入りするとすでに欠場者が何人か出ており、朴もすぐに滑り込むことが出来たのだ。

「せっかく掴んだチャンスなのだから、頑張って!」との伊井さんのエールにも、応えようと懸命だ。
前日初日はパットに精彩を欠いてイライラが募ったが、そんなときにふと思い出したのが、最近、読んだ著書にあった、このような言葉だ。

「結果を追わず、まずは目の前のことに集中すれば、必ず道は開ける」。
ずっと、初シードのことばかりを考えながらゴルフをしていた自分。
「考えすぎて、体が思うように動かなくなっていた」。
失いかけていた自信はこの日前半の17番で、エッジから20メートルのバーディを沈めて、よみがえってきた。

後半は2番で7番アイアンで打った165ヤードの第2打を、奧5メートルにつけてイーグルを奪うなど、金に1打リードの単独首位で、大会を折り返して改めて、伊井さんが言った。

「絶対にこのチャンスを逃しちゃダメよ」。
「ワカリマシタ、ガンバリマス!」。
恩人に、近ごろめっきり上手になってきたと評判の日本語で応えて、折り目正しく腰を折った。

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