HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP 2016

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あきらめの悪い男。谷原秀人が連覇を達成、賞金ランクは1位に

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谷原が、賞金1位に返り咲いた。池田との直接対決で、プレーオフ2ホールを制して奪い返した。自身初の連覇と、自身最多の今季3勝目は、最後まであきらめない心が生んだ“男気V”だった。

賞金2位で迎えた今週は、「ここまでは初めてというくらいにショットが悪くて。試合にも、出たくないくらい」。
首位タイで、出た最終日も10番で右の林の木の根元に打ち込みダブルボギーで「メンタルは崩壊寸前」。
12番では池田に10メートルのイーグルで並ばれ、13番では左の木の根元から、ボギーにしてついに単独首位を譲り渡して「さすがに今日は終わったと思った」。
大ギャラリーの「頑張れ!」という大声に我に返った。
大会初日の夜に、心に誓ったばかりだった。
「ファンのみなさんに感動していただけるようなプレーをする、と」。
愛してやまない地元、広島の英雄が教えてくれた。その夜、特集番組で見た元カープの黒田博樹さんのアンビリーバボーな生きざま。
「ほかのみんなにも見せたいくらい。本当に素晴らしかった」。
いたく感動した谷原は、わが身を振り返って「俺はまだ、何もしていない」。
せめてこの日は、賞金1位と2位の勝負を楽しみに来てくださった。大勢のファンの期待は裏切れないと思った。
2打差で迎えた16番パー3。池田が左端のピンに向かって、ピン筋に打ってきた。
「負けじと打たないと、絶対に勝てない」。奮い立った。
「左に外したら、ボギーも覚悟」と4番アイアンで果敢に、池田の内側につけた。1.5メートルを沈めた。
17番は、127ヤードの2打目で「今日いちのショットが打てた」。2メートルにつけた。連続バーディで追いついた。
ついにプレーオフの2ホール目は、奥から下りの長いフックを読み切った。バーディで勝負を決して池田に打たせずして、パーパットを拾わせた。

13番のボギーの直後に石井恵可キャディに言った自分の言葉を苦笑いで思い出す。
「“こっから3つバーディ獲る”って。どこからそんな言葉出てくるんだ」と、あれほど不振にあえいで苦しんでいた当時の心境を思って自分自身をあざ笑う。
「よく言えたもんだ、と。俺があきらめの悪い男でよかった」と我ながら、今持てる力を尽くして大学の7つ後輩との大接戦に土壇場で競り勝ち「みなさん、今日は楽しんでいただけましたか?!」。

各大会は、予選と決勝それぞれ2日で計4日間。「だけど、4日間とも来てくださる方などいない」。
来場されたお客さんにとっては何日目でも、かけがえのないこの1日を、自分たちはいかに満足して帰っていただくか。
「来てよかったと、思っていただくにはどうするか。今日も一生懸命考えながらやっていた」と土壇場の粘りも、愛するゴルフファンのため。「喜んでいただけたのなら、それが一番幸せです」。

以前はあれほど焦がれた賞金王も、2年前からマスターズの招待状が届かなくなり、谷原も一時は興味が薄れた。
かわりに出場資格の世界ランク50を個々で目指すのもいいが、日本ツアーとしては、それだけでいいのか。
新・選手会長とも先日、話した。
「日本は松山頼みでいいのか。もし松山が、怪我で出られなくなったらどうなるか。マスターズに日本人が誰も出ない状況はさみしい」。
日本の賞金王も、またマスターズに呼んでもらえるように。
世界主要ツアーで構成される“フェデレーション会議”で、JGTO新会長の青木功に議題に挙げてもらえばどうかと優作に、提案したばかりだった。

谷原は54位に終わった前週のWGC・HSBCチャンピオンズ。まさに世界レベルに達した大学の後輩には、「比べることすら恥ずかしい」と圧勝劇に、格差を思い知らされてもせめて「このツアーでも、松山くらいの選手を作れるように、僕らも底上げをしていかなくてはいけない」。
ファンのため、これからを担う若手のため。日本ゴルフ界のため。
今もっとも強い37歳として、できることは何かと考え始めた。
「もっともっと僕らのツアーを盛り上げるにはどうするか」。自らの価値は、自らの手で上げていくしかない。
次週の御殿場にはまた松山が帰ってくる。
「なんとかショットを立て直して、また勝てるように頑張る」。世界ランク6位の後輩にも食い下がる。
賞金レースはまだ続く。
池田とも誓い合った。
賞金1位と2位の直接対決を戦い終えて「いい勝負だった」と、どちらからともなく歩み寄り、「来週も頑張ろう」。
かわした握手。男の約束。この日、2人で繰り広げた名勝負。
残り4戦。トップレースもこの2人こそが主役だと、少しはアピール出来ただろうか。
憧れの人の足元に、少しでも及べただろうか。この日は帰ってからまた黒田さんの特番を、ビデオで見直してみるつもりだ。

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