日本オープンゴルフ選手権競技 2013

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大会記事

小林正則が逆転で78代目のゴルファー日本一に【インタビュー動画】

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  • 18番で1㍍のウィニングパットを決めた瞬間。背中に漂う幸せと充実感
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  • 後輩の小田に「孔明とやれたから、勝てた」と
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  • ツアー通算3勝目はビッグな新婚初Vに恥ずかしいやら嬉しいやら
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  • 両親と新妻の前で勝ち取ったビッグタイトルにイエイっ!

嬉し恥ずかし新婚初Vには、申し分のないタイトルになった。小林が、78代目のゴルファー日本一に輝いた。3つ下の後輩との一騎打ちを制した。大会3日目に単独首位に立って「死ぬ気で勝つ」と涙ながらに言ったのは、小田孔明だが最後は小林が、「死ぬほど嬉しい」と笑顔で波乱の大会を締めくくった。

大会5日目の最終日最終組は「孔明が相手だったから、勝てた思う」と、小林は言った。「孔明は日本でも有数のショットメーカーだから」。東京学館浦安高では自分が先輩でも、プロでは一昨年に初Vを飾ったばかり。今やツアー6勝の後輩を3打差から追いかけるには「自分が思いきったゴルフをしないとダメだと思った」。生半可な闘志では、太刀打ち出来ない。後輩の気迫にも負けないように、命を燃やした真剣勝負は「孔明と競りあえたから最後まで逃げないでプレーが出来たと思う」。戦い終えた18番で、後輩にも心からの謝辞を伝えた。

本来の最終日に当たる20日の4日目が、降雨によるコースコンディション不良のために大会は21年ぶりに月曜に順延となり、来年1月の挙式に備えて予定していた衣装合わせの予定もやむなくキャンセル。この週は茨城。翌週は地元千葉のブリヂストンオープンで、月曜は好都合だった。「この日しか空いてなかったのに」と歳若い花嫁をガッカリさせたが小林はむしろ、小田に申し訳なさで一杯だった。
「孔明があれだけ気持ちを入れて臨もうとしているのに」。小田は単独首位に立った3日目にして、あまりのタイトル欲しさに涙を流したという。翌朝の報道で知った。「それくらい入れ込んでいるのに。俺は」と別に恥じることでもないのに、たまの休みにそんな予定を入れていた自分を責めた。
「孔明があれだけ一生懸命なのだから。俺も頑張らなくちゃいけない」と奮い立った。「俺は孔明のように、気持ちを出してやるタイプじゃないけれど。今回は最後まで諦めないで、強い気持ちでやろう思った」。後輩に触発されて、自分も心を燃やして戦った。

2打差の首位で迎えた18番は、残り240ヤードのバンカーから「刻むか狙うか」。迷ったのは一瞬だけで「なぜかすぐに3番アイアンを持っていた」。小田は最後のパー5でイーグルもある。「でも自分が4を獲れば負けない」と本能にまかせて出た勝負。この日は1日を通して「なぜかショットが曲がらない。最後も、僕にしては完璧なショットが打てた」と、自画自賛のあとに「スイマセン、あの程度で完璧なんて」とすぐに自分を卑下して謝るのは相変わらずだが、狭い花道を駆けあがり、グリーンを捉えたあの1打は見事なものだった。

でも本人は、カップまで11㍍のイーグルトライにつけても安心しない。「何が起きるか分からないのが日本オープン」。小田がグリーン奥のラフから直接入れてくるかも分からない。この日決め手となった1打などない。「全部が決め手」。わずか1.5㍍を「大事に行きすぎた」と3番に続く3パットのボギーにした5番も、珍しく7番ではガッツポーズを握った7㍍のバーディトライも、どれもが最後の1㍍のウィニングパットにも匹敵するほど「気を緩めた1打は一つもない」と胸を張って言える。
今朝は8時からの競技再開で、花嫁に約束した。「優勝するから」。
「そんなこと、俺言いましたっけ?!」と後でトボけたのはいつもの照れ隠しとしても、一番大事な人には本音で話した。「俺なんか」といつもは自分を貶めるばかりの選手が今回ばかりは日本一の称号に本気で立ち向かった。

7月に入籍したばかりの麻理子さんを連れて、9月に参戦したのは欧州ツアーのウェールズオープンと、スイスで行われたオメガヨーロピアンマスターズ。ハネムーンにはムードたっぷりの舞台も初日に88を打つなど2試合連続の予選落ちを喫した夫には思い出どころか「一生忘れられない悔しさ。土産もなく打ちのめされて帰ってきただけ」と傷心の帰国をした。
「ただの新婚旅行にはしたくなかった」。せめてこの悔しさを、秋からの国内戦にぶつけようと思った。「向こうの選手は半分以上がクロスハンドで握っている」とすぐに課題のパットに取り入れた。さらには、先輩プロの加瀬秀樹や塚田好宣をお手本に、右足を半歩下げて構えるクローズスタンスに挑戦したら、がぜん距離感が良くなった。8番でついに小田を捕らえ、10番でいよいよ逆転に成功した6㍍のバーディチャンスも「自信を持って打てた」という。「変にパンチが入ったり、緩んだりがなくなった」と劇的効果に、新婚土産はひと月遅れでちゃんと届いた。

「最高の結婚プレゼントをもらいました」と、麻理子さん。「いや、ヤツはこの大きな意味が分かっていない」と12歳下の妻をわざと揶揄した夫。表彰式では新婚初Vを言及されてやにわに脱帽。恐縮しきりで186㌢の長身を深々と折り曲げ「それより初めて両親の前で勝てたことが嬉しいです」と父の英麿(ひでまろ)さんと母親のよし江さんを引き合いにして気恥ずかしさをごまかした。

5年間の複数年シードには来年の全英オープンの出場権もついてくる。思わずのけぞり「そうだった!」。ずっと挑戦したかった憧れのリンクスコースだ。「考えてもなかったけど嬉しい」と公私ともに幸せも最高潮に。
いよいよ“不惑”の歳も「ぎりぎり」目前に控えた37歳は、今年もアジアンツアーを掛け持ちして「この年齢で億劫さもある」とは正直な胸の内だ。しかし思い切って海を渡れば「知らない環境で、知らない選手と回って、時々凄い選手と回れたりしてそういう経験は、かけがえのないものだから」とこの大きなツアー通算3勝目に勢いづいて挑戦意欲も益々高まる。「出不精になったら終わりなので。これを機会にヨーロッパにももうちょい挑戦してみたい」と言った瞬間、ちらりとよぎった妻の顔。
「・・・でもあんまり留守にすると怒られるかな?」。ハイハイ、末永くお幸せに!!

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