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石川遼がプロ転向後のツアー初優勝!

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夢はマスターズの優勝という17歳は、勝ち方にもこだわった。最初に決めた筋書きは絶対に変えない。「上がり3ホールはバーディ、バーディ、イーグルで決める」。
たとえ2位と何打差つけていようとも、だ。

オーガスタにも匹敵すると言われた高速グリーンも恐れない。
16番で、8メートルのバーディパットも「入れに行った」と言うから畏れ入る。
連続バーディで、2位と2打差。
迎えた18番は、左斜面のラフから残り171ヤードの第2打で自問する。

手前には池。ピン位置は右から5ヤード。
左の花道方向に打てば、確実にパーで上がれるだろう。

「でも番手は7番。普通、ここで逃げるか? ウッズなら? ・・・分らない。でも“石川遼”は狙っていく」。
果敢な挑戦はわずかに距離が足りず、池に転がりこんだがひるまなかった。
「少しでもボールが水面から出ていたら、絶対に打てる」という確信があった。
「もし沈んでいても、バンカーみたいに打てばいい」。
果たして、ピン奥3メートルにピタリとついた。
ウォーターショットに、水しぶきを浴びた笑顔が輝いた。

バーディパットは思いがけず行きすぎて、80センチのウィニングパットはさすがに手が震えた。
2位の深堀が8メートルのバーディパットを決めて、1打差にしていたからなおさらだった。
「ゴルフ人生で一番ドキドキした1打」。
ど真ん中からねじ込んで、天に放った雄叫びは大歓声にかき消された。

ターゲットを決めたら、迷わず振り切る豪快なドライバーショットがいつも真っ先に話題にのぼるが、この週は17歳とは思えない老練な小技が冴えた。

パーオン率1位(90.28%)。
サンドセーブ率6位。
平均パット数は3位(1.6977ストローク)。
3番は、バンカーあご近くの大目玉をみごと3メートルにつけてこれを拾った。
グリーン奥のラフも、再三の寄せでピンチを回避。
10番から15番まで1パットのパーセーブが、終盤の逆転Vを呼び込んだ。

死闘を振り返り、「誰かに助けてほしいくらいに苦しくて・・・。途中で泣きそうになりました。でも、最後にいいことが待っていると信じて頑張りました」と、声を震わせる。
最後まで争った深堀から贈られた言葉が何より胸に染みた。
「実力で勝ったんだから。自信を持っていい」と声をかけられ、とうとう堪えきれずに嗚咽した。

1月のプロ転向から10ヶ月。
プロとして史上最年少となる17歳と1ヶ月15日でのツアー初優勝が、何より努力と成長のあとを物語る。
しかし純な心は昨年、史上最年少Vを達成した15歳のまま。
表彰式で散々泣いても、まだ泣き足りない。
大粒の涙をこぼしながらインタビュールームに入ってきたチャンピオンは、しばらく言葉も出て来ない。
「ゴルフをやっていて本当に良かった、と・・・。こんな素晴らしい環境でゴルフが出来るのは、家族もそうですけど、主催してくださる方々、ゴルフ場、関係者やスポンサー、ボランティア、ファンのみなさんがいてくださってこそ」。
そのことを思うたび、泣けて仕方ないようだった。

迷わず投げ込んだウィニングボールは最後まで大声援で支えてくれた、ギャラリーのみなさんへのせめてもの感謝の気持ち。
記念の品を惜しむ声にも最後はサラリと「大丈夫、またこれからいっぱい勝ちますから」。
やはり、ただの17歳ではない。


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