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〜全英への道〜 ミズノオープンよみうりクラシック 2008

塚田好宣は自身2度目の出場権をゲット

18番で惜しくもバーディチャンスを外した塚田は…
この日の塚田は大活躍だった。最終ホールで3メートルのバーディチャンスを逃したものの、最後まで優勝争いを繰り広げた。
大激戦の末に3位タイにつけて、アジア予選を突破した2002年以来2度目の全英切符を手に入れたそのあとは、表彰式でチャンピオンの通訳だ。

アジアンツアー…、特にタイをこよなく愛す塚田は海外遠征の折りは、いつもバンコクを拠点にしている。だから、アメリカ留学で培った英語力に加え、タイ語も話せる。

マークセンのキャディの上江洲安秀さんもタイ語が出来るが、「彼は恥ずかしがり屋さんみたいで…。どうしてもお願いと言われて」と、揃ってテレビカメラの前に立ったが他人のインタビューに立ち会うなど初めての経験だ。

「なんだか変な気持ちでしたね。僕は負けているのに“おめでとうございます”なんて…」と複雑な心境ながらソツなくこなし、マークセンらほかの該当選手らと並んで、英国ゴルフ協会R&Aの役員の方々から全英オープンの選手章を受け取った。

そして最後は共同会見。
全英オープンの出場権を得た矢野、松村とインタビューに臨んだのだが、ここでも塚田ワールド全開だった。
昨年のチャレンジトーナメントランク1位の資格で今季1年間の出場権を得た松村の「身近に感じたことがなかったので何とも言えませんが、初めてのメジャーなので頑張りたい。体調だけは万全に臨みたい」と、至極マジメに答える様子とは実に対照的だった。

最終日の前夜について聞かれ、「違った意味で眠れなかった」と切り出してから、とうとうと語り出したのだ。
大阪市内の宿泊先で、夜中2時に警報ベルが鳴って起こされたこと。
防災訓練かとタカをくくっていたら、「火事なので逃げてください」との館内放送が流れ、「明日の服がないと困る」と、スーツケースをまとめて慌てて外に飛び出したこと。

また、知人にその旨をメールしたら「火がついたのは縁起がいい証拠。明日の最終日は期待できる」と励まされたこと。

しかし結局、それは誤報でほとんど眠れなかったばかりか第3ラウンドの残り競技の再開に合わせ、3時半起床で、実はひどい寝不足であること…。

「でも、全英の出場権ももらえたし、確かに縁起が良かったんスかね」と、そこまで語った瞬間だった。
隣の席で、それまで根気よく塚田の話に相づちを打っていた矢野がタイミングもバツグンに、あきれ顔でツッコんだ。
「塚田さん、それ前フリ長すぎるよ。しかも落ちはどこなのよ?」。
その一声に、たまりかねた報道陣も大爆笑…。

それでも、なお独特の塚田節は止まらなかった。
全英オープンについて聞かれ、「前回は初出場で楽しかった反面、打ちのめされて、悲しい思いもして帰ってきたから。もう一度行きたいと思っていたし、2度目の出場はほんとうに嬉しい!」と、その思いを語ったあとで、最後にツアー初優勝を2打差で逃した悔しさを独特の表現で表した。

「でもイギリスって、本当に金かかるんスよね。だから、遠征費を稼ぐためにも今日はなんとか勝っておきたかったのになあ…!!」。
確かに、この言葉には矢野も同感らしく「お金の計算が大変スよね」と言ってウンウンと頷く様子は、まるで掛け合い漫才のようだった。

前回のロイヤルトルーンでは通算17オーバーを打って、2日限りで屈辱の帰国をした塚田。
7月には今度こそ、かの地で飄々とリベンジしたい。

  • 悔しさをこらえ、ヒーローインタビューで通訳をこなし、
  • 表彰式でバージンアトラック航空のロンドン→東京往復航空券に「飛行機代が助かります」と感謝して、
  • R&A全英オープン実行委員コリン・フィリップス氏から選手章を受け取って、
  • 2度目の遠征を喜んだ!!

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