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谷口徹が選んだベストサポート賞は・・・

シニアVS女子VS男子の対抗戦日立3ツアーズで、賞金王と女王に挟まれて、照れ笑いの清水さん(中央)
各部門の1位者と、来季のシード選手を称える目的で2000年から始まった「ジャパンゴルフツアー表彰式」は、1年間ツアーを支えてくださったスポンサー、関係者やファンのみなさまに、選手のほうから感謝の気持ちを示す場でもある。

2002年から新たに設定された「ベストサポート賞」こそ、まさにその趣旨を確かな形に具現化したものだ。

表彰対象者が豪華な賞金や賞品を受けたあと、逆に選手のほうからその年いちばん自分を支えて下さった方を壇上に呼び寄せて表彰する、というこの賞はもとは湯原信光の提案から始まった。

その年、パーオン率1位のスピーチで、こう話したことがきっかけだった。
「F1には、ドライバーズポイントという賞のほかに、コンストラクターズポイントといって、技術スタッフにも賞を与える制度があります。ぜひゴルフもこれにならって来年以降は、支えてくれたスタッフが選手と一緒に賞を受けられるような機会をぜひ設けていただきたい」。

今年、5年ぶり2度目の賞金王に輝いた谷口徹がこの「ベストサポート賞」に選んだのは、専属キャディの清水重憲(しげのり)さんだ。

今季はオープンウィークに女子プロの上田桃子選手のバッグを担ぎ、賞金王と女王を支えた敏腕キャディとしても話題になった。

コースではけして私情を持ち込まず、いつも冷静沈着で精神状態は常にフラット。
選手より目立つことを何より嫌い、ストイックなまでに黒子に徹することができる。
そんな姿勢には選手の信頼も厚く、またそんな人柄だからこそ選手たちは安心して清水さんにすべてを委ね、より最高のパフォーマンスを発揮することができるのだろう。

キャディ部門のMVP賞があるとすれば、間違いなく彼と言われるほどの活躍ぶりに、「これからは、桃ちゃんのバッグを担いだほうがいいんじゃない?」と、冗談交じりに皮肉っていた谷口も、この日ばかりは照れもせず、2人壇上で向き合って感謝の気持ちをあらわした。

来季から米ツアーに本格参戦する上田選手にラブコールを贈られていた清水さんだが、来年も上田選手のキャディはオープンウィークだけにとどめ、国内は谷口をサポートする、という形で落ち着きそうだ。

シーズン終盤には、その上田選手に獲得賞金額で抜かれた時期もあり「バカにされたままでは終われない」と発奮。
最終戦のゴルフ日本シリーズJTカップで上田選手を抜き返す最低条件だった単独2位に滑り込み、約560万円差をつけて、辛くも男子の面目を保ったのだった。

「来年も、ぜったい誰にも負けたくない!」と力をこめた谷口。
そのかたわらには、やっぱり清水さんのいつも穏やかな笑顔がある。
  • 表彰式で谷口(右)は、清水さん(左)に改めて感謝の気持ちを・・・

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