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ファイナルQTランク15位田中秀道の声に導かれ・・・富田雅哉が土壇場で急浮上

常にどこからか“師匠”の声が聞こえてくるような気がした。会うたびに繰り返し諭されるこの言葉。
「ゴルフは、技術じゃなくて気持ちの問題」。
そのたびに、身の締まる思いがした。

95年のフィリップモリスチャンピオンシップ(現・ABCチャンピオンシップ)。
ツアー初優勝をあげた田中秀道のバッグを担いでいたのが当時、中京商業高3年の富田だった。
以来、田中を“師匠”と仰ぎ慕ってきた。
現在、米ツアーで活躍する田中は、帰国の折にはいつも連絡をくれ、そこでプロとしての生き様や精神論を、富田に惜しげもなく披露してくれる。

ファイナルQTで、最後の最後に巻き返せたのも、田中のゲキがあったからこそ。
常に、その教えを意識しながらのプレー。
3月23日に行われた最終日の第6ラウンドで、ベストスコアタイとなる7アンダーの65をマークして、前日の51位タイから一気に15位まで上昇することができた。
「おかげで、なんとか這い上がることができました」。
ホールアウトするなり、心底ホっとしたような笑顔が浮かんだ。

やはりファイナルQTの資格で参戦した昨シーズン。初シードまでまさに、あともう一歩だった。ボーダーラインの74位の中川勝弥とは、約100万円差。次位の75位で涙をのんだ。

今年こそシードの壁を突き破るためにも、そして田中に良い報告をするためにも、再び舞い戻ってきたこのファイナルQTで、失敗するわけにはいかなかった。

これで、今季ツアー前半戦でフル参戦できる。
「試合に出られること、それがとにかく嬉しくて。今年は少しでも多く試合に出て、実力を上げていきたい」。
そしてぜひ、“師匠”の恩に報いたい。

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