
本大会も、8月の同ツアー「ダンロップフェニックストーナメントチャレンジinふくしま」で、同月「住地ゴルフチャレンジ」からの連勝を飾って初出場権を得たが、場合によってはシード選手でさえ敷居が高いのが、このダンロップフェニックスだ。
「なんでいま自分はここにいられるのか」。
昨年の今頃は、ちょうどサードQTに失敗したころ。「レッスンプロはやりたくない、何か別の職業を」と、転職サイトで検索したのは大好きなオンラインゲームのプログラマー。
でも、「チャレンジトーナメントは出られる。1勝くらいはしたいな」と、ひとまず思いとどまり今に至る。
「あれから1年後にここにいるっていうのは…ほんとに考えられない。人生ってわからない」というのが、いま偽らざる思い。
「だからいま、楽しくって仕方ない」。
会場のフェニックスカントリークラブは、中部アマを制した、地元岐阜県の岐阜聖徳高校時代に試合で回ったことはあるが、当時の記憶は皆無だ。
「今年は何ホールかで距離が伸びたそうで、練習ラウンドで回った選手はみな、難しくなった、と言っていましたけど、僕は昨年までを知らないので難しさが分からない」。
それよりも、毎年、この時期は、テレビにかぶりついてみていたコースを目の前にして、「特に放送が始まる13番からは、ああここだな、とかあそこだな、とか…」。
嬉々として、攻略に励む。
「もちろん、ティショットでフェアウェイを外さない、林に行かない、というのは前提なんですけど。2打目でいかにキャリーでグリーンに当てて止めるか、という勝負になる。球が高い僕的にはいいのかなとは思うんですけど、なんせグリーン周りが上手じゃないので、乗ればいいスコアになるし、アイアンが荒れたら崩れるし」。
どちらに転んでも、ACNツアーの年間王者として通年プレーに挑む来シーズンへのいい経験になるはずだ。
ACNツアーで戦っていたときから、「持ち球がはっきりしないのが自分の弱点」と自覚し、ACNツアーが終わってすぐ始めた筋トレと並行し、フェードボールを磨き中。
「本当にドローで行かないといけない場面以外は全部フェード気味に打って、というプランを組み立てつつ、予選を通って上位に行けたら嬉しいですね」と、今週も控えめに目標を立てる。
米二部コーンフェリーツアーからの来季PGAツアー昇格を果たした平田憲聖(ひらた・けんせい)は、大阪学院大学の2つ後輩。
今週の会場で、久しぶりに顔を合わせて「お互いにおめでとう、と称え合いつつ。僕にはまだ、PGAツアーというのは現実的ではなくて」と背伸びはしない。
「シード選手はこの大会すら当たり前のように出ている感じですけど僕にとっては、それもすごくて。それくらいじゃないと、優勝争いもできないのかな、と思ったり。まずは、そこに慣れるところから始めたい」。
今季の年間王者は憧れの大舞台にもそろり、と踏み出す。














