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フォーティネット プレーヤーズ カップ 2025

佐藤大平「勝つってどんなだろう?」初の3日目首位で見据える初Vへの憧憬

佐藤大平(さとう・たいへい)が土曜日に覚醒。
自身3度目の自己ベスト「62」をマークし、一気に3打差トップで抜け出した。




3打差の4位から出たこの日は「ティショットが安定していたしストレスなくプレーが出来た」と、難易度最強の4番パー3で7Wを持ったティショットが2メートルにくっつくなど、前半4バーディでターンをすると、11番に続いて12番では奥ラフからチップイン。

13番では3メートルのチャンスも逃さず、池越えの16番では、ティショットが隣の林の14番ティグラウンドの方に行っても、「前が何もなくて問題なく打てました」と、難なく2オン2パット。

最後18番も、167ヤードのフェアウェイから7アイアンでピン1.5メートルに絡めて会心のバーディで締めくくり、自己最多タイの8アンダー・ボギーなし。
通算16アンダーまで伸ばして最終日を前に3つもリードを作れた。

今季序盤は、5月に3戦連続でトップ10入りするなど絶好調だった。

「今季は行けそう」と本人も、プロ11年目の初優勝にむかって驀進していたつもりが、6月のJGTO主催大会「BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」での予選敗退を契機に急転。

8月には4戦連続で決勝進出を逃すなど、「自分でも正直びっくり。ゴルフの状態は悪くなかったし、あんまり連続で落ちることはなかったのに落ちるので。だんだん悪く感じてくる。自信もなくなっていきました」と一時期、途方に暮れた。

今季、オフトレの成果で20ヤードも飛距離が伸びた。「最初は飛ぶようになったことがただ嬉しくて…」。
はしゃぐたび、「わかったから。まっすぐ飛ばしてください」と、キャディさんにもたしなめられたとおりに、「もっと飛ばしたいと言う気持ちから、ボールに対するフェースの向きや、今までやってきた練習がおろそかになっていたと思います」。

予選2日で帰宅するたび、ワンオペで3人の子育てに励む奥様からも叱責が飛んだ。
「何やってんの、ちゃんとやってよ!」
「やってるんだが…」と、一応は反論しながら「そら父親が稼いでこなあかんやろう…」と、反省し、基礎を見直し、スコアメイクを徹底。
今年も残り6戦で再び優勝争いにこぎつけることができた。

9人の初V者が出ている今季。
「若い選手が優勝していって、いいな~、おれも続きたいな~、頑張りたいな~、と刺激にはなりましたが、夏ごろは気にする余裕も無かった。いまの自分には厳しいことか、と」。

特に、いつも一緒に練習している大学後輩の比嘉一貴(ひが・かずき)が、夏の「ISPS HANDA 夏に爆発どれだけバーディー取れるんだトーナメント」で、賞金王の22年以来となる通算7勝目を挙げたあとから、9月の韓亜3共催「Shinhan Donghae Open」と、翌週の亜「ヤンダーTPC」で2週連続Vを達成するなど快進撃を続けており、「凄いなあ…」と、ただただ感心。

「勝つってどんなだろう? どんな景色が見えてんだろう?」と、初Vへの憧憬はふくらむばかりだ。

最終日最終組は6回目だが、最終日を首位で迎えるのは初めて。
「逃げ切ります!」。
どんな試練を越えてでも、見るべき世界が待っている。


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