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日本オープンゴルフ選手権 2025

長野泰雅が雨の初日に暫定トップ「孔明さんに良い報告したい」

初日の日光は、朝から静かだった。傘に手を取られているから余計にギャラリーの拍手が聞こえない。ただでさえ難条件に、雨が加わり、スコアが伸びない。

進行も遅れた上に、午後から暗さと霧のため16時32分に一時中断。
その流れのままサスペンデッドが決定した。

8組24人が競技を残したため暫定データにはなるが、平均スコアはパー70に対して73.9817にとどまった(ホールアウトした95人が対象)。
アンダーパーをマークできたのは現状わずかに8人。

停滞ムードのリーダーボードで、唯一ひときわにぎやかだった。
暫定トップの長野泰雅(ながの・たいが)が、雨の初日にバーディ9個。



「ショットの調子がよかったので1日ピンしか狙っていない」。
フェアウェイキープ暫定1位の好ショットに任せてイケイケだった。

でも、その代わりにボギーとダブルボギーもちょうど2個ずつ。
「ピンしか狙っていないので、ミスしちゃいけん方向に行った」と、5番と9番も、雨にも構わずガンガンに攻めた結果。
「2ホールともフェアウェイから打って、ダブルボギーを打ったッス」。
でも長野は懲りてなかった。

5番の次の6番では1.5メートルにくっつけ、9番の次の10番では8メートルをねじ込み、さらに次の難関11番でも2メートルを沈める怒涛のバウンスバック。
最後右1メートルのバーディで締めた18番まで、にぎやかなプレーは続いた。

9月の「ロピア フジサンケイクラシック」でツアー初優勝を決めたときも、「直近の目標は日本オープン」と、会見で話していた。


最上位者に全英オープンと、勝者にはマスターズの切符が付与される。

「ゆくゆくは海外に行きたいんですけど、一番近い道は日本オープンに勝ってマスターズに行くこと。優勝したい」などと話していたのにその後、少し調子を崩したのは、風邪による体調不良と、初優勝でちょっぴり気持ちが緩んだのと、クラブを総取り替えしたりしたから。

反省し、クラブをV時のセットに戻し、改めて本大会を射程に、先週の空き週に鬼の練習を積んで戻った。
「伸ばし合いは嫌い。日本オープンみたいな耐える展開が得意っス」と、言ったとおりに好発進した。

ルーキーの22年に本大会で3位につけて、初シードを果たした。思い入れの強い試合で活躍を伝えたい人が長野にはいる。

14年賞金王でツアー通算8勝の小田孔明が先週のACNツアー「エリートグリップチャレンジ」で、第一線を退くと発表した。


後輩の面倒見がよく、長野も小田を慕う一人で、デビュー時からオフ合宿に加えてもらうなど世話になった。
「試合で一緒に回れなくなるのはすごく寂しいです。今週、良い報告ができたら」。
2枚のメジャー切符と、5年シードのビッグタイトルを恩人へのはなむけにする。

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