16番や17番ではショットが散ったが、スーパーセーブで一歩も引かず、史上まれにみる激闘に、幾度ガッツポーズを握ったか。
本戦最後の18番では残り3メートルのパーパットを残して、ついに蟬川に並ばれたが、自分もしのいでプレーオフ進出を決め、「よしゃー」と雄たけび、右こぶしを振り下ろすこと3回。
でも、ガッツポーズの数以上に際立ったのは、相手の好プレーを称える姿だった。
蟬川がバンカーからチップインイーグルを沈めた2番も、最後バーディで追いつかれた18番でさえ、蟬川にグータッチを差し出し、笑顔でごっつんこ。
「蟬川選手、うまかったですね。途中、勝負の流れがこっちに傾いた時でも攻めの手を緩めず、最後まで戦ったから優勝した。2枚も3枚も上手」と、ほめちぎった。
1ホール目の"バーディトライ"がカップに届かず惜敗したが、「18番ホールは本来パー以上(4以上)のスコアになるホール。それを、3ー3(バーディーバーディ)で上るというのはショット力の高さ」と本戦、プレーオフ共に“連続バーディ”で優勝した蟬川を絶賛し、「自分は17、18番をしのいで背伸びをしながらついていくようなプレーでしたので、最後に決定打を打たれた」と、潔かった。
蟬川が、「未来夢(みくむ)さんの声援が凄かったので。未来夢さんに勝ってほしいと思っているギャラリーさんに負けないように頑張りました」と、V会見で明かしたとおり、「未来夢、未来夢」の、大合唱を浴びながらのプレー。
「いずれ終盤は、敵となる相手ですけど、途中脱落しないように、最終組の中から優勝者を出すぞ、という」。
同組の米澤も巻き込み鬼気迫る好ゲームで大ギャラリーをひきつけながら、誰よりいちばんエンジョイした。
「楽しかった。こういう緊張する場面でプレーできるのはすごく幸せなこと」。
最強のグッドルーザーは、負けたと同時に即、勝者の水シャワーに加わり満面笑みで蟬川をお祝いしていた。
※タイトルと一部記事を修正いたしました。申し訳ございませんでした。