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中日クラウンズ 2025

暫定のリーダーボードで2打差の4位。改めて、発多ヤマトは何者だ

暫定のリーダーボードに、人目をひくカタカナ名前が載った。
プロ4年目の発多(はった)ヤマトが、大雨と風の和合で2日続けて「69」をマーク。

通算2アンダーの暫定4位で大会初の決勝進出をものにした。

朝のスタート遅延(50分)も、午後から約3時間の中断も、いずれも発多は丸かぶり。
でも、「集中しすぎても持たない。レストランで美味しい牛乳とホットサンドを食べました」と待ち時間も優雅に過ごして、午後4時から残り4ホールをプレー。

2ホール目の7番でボギーを打ったが、すぐ8番ではフォロー風の2打目(104ヤード)を1メートル半にくっつけた。
「僕はフェーダーなんで、林の上から打っていければいいところに打てる」と、追い風も味方にバウンスバックし、「和合は難しいので。ボギーは来てしまうんですけど流れを壊さず終われたのはよかったです」。
難条件で4バーディ、3ボギーの健闘に、駆け付けたファンから喝さいを浴び、ピースサインで応えてみせた。



三重県出身の25歳。
帽子に地元名物「赤福」のロゴが目を引く。

まだシード権すら持たないが、オフの主催コンペには100余人が集まるほど人気。

ファン球団「中日ドラゴンズ」の方々にもなぜか可愛がられて、元エースの川上憲伸さんとは近々ラウンドする約束もしているとか。
「ありがたいです」と、ニコニコする。

本名は同読みで「八太大和」と書く。
名字は、徳川家を支えた武家にルーツがあるらしいが、真相は定かではない。

23年のデビュー時から、登録名を「発多ヤマト」にしたのは、B'zやZARDを手がけた名音楽プロデューサー、長戸大幸氏の助言から。

長門氏と、懇意にしていた師匠の摩季れい子プロの引き合わせで面談した際、「スターの条件は見せ方とビジュアルと名前」との指南を受け、その場で“改名”を依頼。
大胆な変更に周囲は大いに驚いたが、「パワーがもらえる」とすぐに気に入り、改名直後に出た23年の地区競技「岐阜オープン」で優勝。
効果を実感している。

大学のひとつ先輩で、昨季賞金王の金谷拓実(かなや・たくみ)を追いかけプロになった。

毎年オフは広島の実家に押しかけ、練習させてもらうが、金谷は今季からPGAツアーに参戦。
不在の今年は「さみしい…」と、せっせとラインで近況報告する毎日だ。

金谷の勝負メシにあやかり、先週の「前澤杯 MAEZAWA CUP杯」では、10日間のプロアマ戦も含めて毎夜、ハンバーグチェーンの「びっくりドンキー」に通った。
「金谷さんはチーズですけど、僕はエッグ」と、互いの好みを嬉々として語り、「君なら大丈夫、と金谷さんはいつも言ってくれるので」。


予選会を突破して初出場を果たした昨年大会に続いて2年連続2度目の和合。
今季QT6位の資格で本格参戦する今年はV争いに食い込み、成長をみせている。

可愛い後輩の活躍を、金谷先輩も海の向こうできっと見ている。

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