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宇部興産オープン 1999

崔京周、キリンオープンに続き、日本ツアー3戦目で早くも2勝!

 3番ホールあたりから雨降り前の突風が吹きはじめ、崔京周は、風の読みに苦しんでいた。前半のハーフはすべてパー。度重なるピンチをしのぎまくってきた崔の心に火をつけたのは、実は10番、ミドルホールでのギャラリーの心無い拍手だった。
 残り160ヤードの第2打。右から左の風に流されてグリーンをはずした。崔は、ロフト59度のロブウェッジで寄せを試みたが、思うようにスピンがかからず、ピンを6 メートルもオーバー。
 そのとき、グリーンわきから崔のミスショットを喜ぶ、観客の拍手と歓声が聞こえたのだ。
 崔は「悔しかった」とこのときの気持ちを振りかえった。
 「でも、だからこそ、余計にこのパーパットをしずめてやろうと思いました」。
 決意どおりに、パーセーブ。

負けた細川  負けた細川は言う。
 「崔さんの、10番のパーパパットは大きかった。僕は前半は、完璧だったけど、あれで後半の試合の流れが、完全に変わった。崔さんに簡単に入れられて…」。
 勢いづいた崔の11番ロングホールで奪ったバーディは、崔の勝利をさらに後押しした。
 ティショットはスライス風に流されて、右の林へ。
 誰もがOBと思った球は、ラッキーにも木の下のラフに残っていた。
 「完璧OBと思ったんだ。でも残ってた。勝つときってそういうもんだね。崔さんがラッキーだった」(細川)。
 崔はそこから4番アイアンでひとまずフェアウェーに出して、残り80ヤード。
 またもや、今回、多用しているロブウェッジを取り出し、放ったショットは9メートルも残してしまった。だが、2日目には20パットという、パットのうまさがここでも光った。
最終日、初のバーディ奪取で、細川を突き放す足がかりとしたのだ。

  ★崔の話
 「11番までで、ホソカワさんが1打差に迫っていました。そこで私は、とにかく落ちつこうとしました。リラックス、ノープレッシャー、1打1打、そう思いながら打ちました。
 11番の9メートルは、今回のわたしのハイライトのプレーです。
 10番は、その次に、ハイライトと言えるものです。
 この大会に会場入りして、練習ラウンドをしたときも、きょうのようなものすごい風が吹いていました。一緒に練習してくれた金鍾徳さん(韓国)に、昨年の優勝スコア(16アンダー)を聞いて、『こんなタイトでグリーンの早いコースでそんなに出るなんて信じられない、僕には難しい』と不安に思いましたが、初日に3アンダーが出せたのでホッとしたのをおぼえています。
 日本ツアーに参戦して3戦目で、もう2勝もあげることができて、とても嬉しく思っています。これからもっと、日本語を勉強して、インタビューも日本語で答えられるようにしますよ(笑)。
 そして、これからも、リズムとテンポを大事にしながら、ゴルフを楽しんでいきたいとおもいます。ありがとうございました」 

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