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長嶋茂雄 INVITATIONALセガサミーカップゴルフトーナメント 2017

池田勇太は2罰打にもめげない

7月7日の七夕は、香妻陣一朗の誕生日。同伴競技者としても、23歳になったばかりの後輩を盛り立てながら、お祝いムードで出ていったのもつかの間だった。

池田の表情がみるみるこわばった。
1番ホールのセカンド地点でキャディバッグに余分なクラブが1本、入っていることに気がついた。

練習場で、使おうか迷っていた3番アイアン。
スタート時に抜き忘れて“15本”もコースに持ってきてしまった。
「クラブ超過」のゴルフ規則4−4aに抵触すれば、2罰打である。
すぐに、マーカーのチャン・キムに申し出た。
スコアカードの最初のマスにダブルボギーの印を付けて「怒る気力もない。今も自分自身に呆れている」。ゴルフ人生初の大失態。プレー後まで猛省を引きずりながらも池田は執念で、単独首位に立った。

スタートホールのつまづきも、5番でベタピンのバーディを奪った。7番からの3連続バーディで、あっという間に取り返した。
怒りのバーディラッシュならぬ「“呆れのバーディ”ですよ」と、苦笑いもキレキレのアイアンで後半もさらに2つスコアを伸ばした。

出だしの不注意はあったが、6連続バーディを奪いながら、終盤に失速した前日初日に比べれば、上がりホールの不出来を誰より気にする選手にとってはストレスゼロの18ホールだ。

今年は、世界ランキングの資格を駆使して米ツアーに軸足を置き、5大会ぶりの日本ツアーはかねてより、グリーンが苦手なコースということもあり、あえてハウスキャディを使わせてもらうことにした。
「ハトちゃん」こと鳩澤季躍香(はとさわきよか)さんはその道12年の経験があり、「しっかりとラインを読んでくれて、非常に参考にさせてもらっている」。

グリーン上でも2人でじっくりと意見を合わせて、「入っても、外しても、そのあとまた互いの会話を密にして、とても助けられている」と全幅の信頼で挑むV争い。
今大会で首位に立つのは自身初だが「最終日にこの位置にいなければ意味がない」。
週末こそ久しぶりの日本で賞金王の貫禄を見せつける。

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