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フジサンケイクラシック 2020

Mっ気のファンプロジェクト担当。市原弘大が渾身の好発進

雨にもマケズ©JGTOimages
プロ20年目の38歳も、8か月ぶりの実戦には、平静でいられなかった。3日・初日の第1ラウンドは、インの8時15分からスタートした市原。
「この日を待ちわびていた。長い間ツアーでプレーできていなかったので、感慨深いものがありました」。
その思いが強いほどに「今日はいつも以上に緊張した」という。

それでもスタートの10番では「ティショットが枝に当たって運よく残ってくれた」と、フェアウェイからピン7メートルに乗せて、再開初戦をバーディ発進。
「これが、大きかった」。

全長7500ヤード超の富士桜カントリー倶楽部は、ツアー最長のモンスターコース。
緊張している暇などなく、「2、3ホールも行くと緩和されてきて、マネジメントに集中していきました」。

昨年大会は10位タイ、と相性は悪くない。
「けっして、好きなコースといえるわけではないですけど、Mっ気が強いのかな。難しいコースでこそいいスコアを出したい。どうやってやり過ごそう、どうやって攻略しよう、と挑戦意欲を掻き立てられる。その気持ちが良いように働いてくれる」と、15番から3連続バーディを記録。

535ヤードと距離の長い後半の5番パー4は大雨で、2打目が260ヤードも残ったが、そこから右ラフまで運んで2メートル半のパーパットを拾った。
午前組終了時点で4アンダーの、暫定トップに立った。

いつもニコニコ笑顔を絶やさず、日本ツアーの出場資格がない時代に参戦したアジアンツアーでついたあだ名が”スマイリーフェイス”。
いつもなら、自身の似顔絵をプリントしたオリジナルの缶バッジやステッカーをキャディバッグに山盛り入れて、ギャラリーに配って歩くが「今日は、ロッカーに置いてきました」。

無観客の試合では、受け取ってくれる人もいない。
ナイスプレーに拍手をくれる人もない。

「やっぱり声援を送られて、プレーするのがプロの醍醐味。しばらく、こういう試合が続く。その中でも男子ゴルフを身近に
感じていただくにはどうするか」。
6月の選手会理事会では、新たに設置されたファンプロジェクト担当に就任。
リーダーの石川遼らとこれからのファンサービスについて、試行錯誤を始めたばかり。
今週は、開催に合わせてまずはプロモーション動画の配信をスタートさせたが、「まだまだ、動き出したばかりで十分ではありません。なんとか、試合がない中でもファンのみなさんに喜んでいただけることを、とみんなで意見を出し合っているところです」。

コロナ禍の自粛期間中にも、実家の屋上に手作りした鳥かごの練習場で調整を欠かさず、さまざまな器具を買い込み、空いた時間に任せて、トレーニングの量も断然増えた。
「ケガの功名で、以前より1番手くらい飛距離も伸びた」。
さまざまな制限がある中で、とにかく今一番ギャラリーに贈れるギフトはやっぱり迫力のショット。男子ゴルフの力技。
「フジテレビさんの生中継を通じてなんとか、お届けできれば」。
まずは自らのプレーで、再開初戦のプロジェクトを完成させる。

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