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中日クラウンズ 2015

今年もたんぽぽの花に励まされて(中嶋常幸らが地元福祉施設を訪問)

今年17年目の恒例行事ともなると「訪問」というよりも、「里帰り」と言ったほうがプロたちの気持ちにはふさわしい。この日28日は、午後15時からの“再会”に合わせて続々と、施設に集まってきたプロたちの挨拶も「こんにちわ」ではなく、当たり前のように「・・・ただいま!!」。何の違和感もなく、「おかえり!」とみなさんの元気な声に迎え入れられ、今年もやっぱりジン・・・ときた。

「今年もまた帰ってきました!」とは中嶋常幸。愛知県東郷町の「名古屋ゴルフ倶楽部 和合コース」で行われる「中日クラウンズ」でアルバトロスを達成したのは1998年の38回大会。1番ホールのパー4で、ティショットを直接カップに入れる快挙達成を成し遂げた際に受け取った賞金の一部を、地元の小規模授産施設「たんぽぽ作業所」に寄贈したのをきっかけに、膝のケガでやむなく本戦を欠場した昨年でさえも、欠かさなかったこの施設訪問は、もはやライフワークのひとつである。

「ここは自分のうちみたい。ここに来ないと1年が始まらない」と言い切るほど。施設の方々と育んできた強い絆は絶ち難い。「力になるし、励みになる」と、こんな素晴らしい触れあいの時間を独り占めにするのはもったいないと、今年も弟子や後輩を引き連れてやってきた。

今年はチャレンジトーナメントの賞金ランク5位の資格でツアーに参戦する鈴木亨も「ここに来て、みなさんに会って、やっと1年頑張ろうという気持ちになるのに、今年はどうなるんだろう・・・」。開幕前から過ごした不安な日々。
シード選手にすら“敷居”が高い今大会に、今年も出られるのかどうか。直前まで分からず、やっと資格が出来たのが、先週の日曜日。
「みなさんに会いたいという僕の思いと、待っていてくださるみなさんの気持ちが合わさって、奇跡的に出られた気がする」と、不思議なご縁に今年も感謝せずにはいられない。

桑原克典はなんといっても、毎年ここで、中嶋の大親友の寿司職人の山内和義さんが振る舞ってくださるお寿司が楽しみで、この味をぜひ後輩にも味わってもらいたかった。
「それで、彼にもお寿司のことを話したら、ぜひ食べたいって。みんなにも会いたいって。来てくれました」と先輩に紹介されて、「僕の言いたいことをすべて言ってくださって」と、恐縮しきりは今野康晴。
「僕は今年、初めての参加で分からないことばっかりで」と、山内さんの指導でつまんだシャリも、おっかなびっくり。「寿司を握るのも初めてだから」と、99年大会のチャンピオンは、プロ20年目にして初モノづくしのクラウンズとなった。

そして遅れてきたヒーローは星野英正。2003年大会のチャンピオンはこの日、和合で行われた歴代覇者の祭典「チャンピオンズマッチ」でも、どうやらけっこうな好成績をあげたようだが、少し遅れて駆けつけるなり、「ここに来るとホっとします。自分の家に帰ってきてみたい」と、さっそくホッコリ。
そしてニッコリ。「今年もみなさんに、元気をもらいに来ました」と、普段クールな男も笑顔満面。
そんな星野には今年はもうひとつ嬉しいニュースがあって、中嶋とともに続けてきたこの社会貢献活動が、地元の東郷町社会福祉大会の30回目に、その顕著な功績をたたえて表彰されたというのだ。

みなさんの前で改めて表彰を受けて、「表彰状をもらうなんて何年ぶりだろう」とアマ52冠、ツアー通算3勝の雄にとっても、コースの外での活動が、こうして認めていただけるというのはなおさら感慨深い。

今年はみなさんと、スナッグゴルフやパター合戦で大いに盛り上がった。
揃いも揃って施設のみなさんに、ことごとく勝ちを譲って形無しのプロ5人。でも、こんなにも清々しい敗退は、本業のゴルフでもなかなか味わえるものではない。
最後に、プロへのお礼のお手紙の中で、「たくさんのお客さんが来ている中で、ゴルフをすることはとっても勇気があると思います!」との賞賛を受けて、くすぐったいやら、誇らしいやら。
これだから、また約束しないではいられない。
「また来年も絶対に来るよ・・・!」。
山内さんの美味しいお寿司でお腹いっぱい。そして今年もまた、けなげに咲くたんぽぽの花に励まされて、胸一杯のプロ5人であった。

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