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開幕連覇を狙う、塚田好宣

昨年は、シーズンはじめに最初に笑ったのは、43歳のベテラン。ジュニア時代から王道を歩み続けてきた丸山茂樹とは同級生。かたや日本ツアーで通算10勝、米ツアーで3勝のスター選手に比べて、初優勝までに20年もかかったのは、「どうせ自分は勝てないから」と、自らにブレーキをかけていたから。その言葉の裏に隠した本心は、「俺だって勝ちたい」。しかし、そう思い募ることで自滅をして、ズタボロになってしまうかもしれない自分を想像してずっと、怖かった。

長いこと閉じ籠もってきた殻。「逃げていては、一生勝てない」と、やっと気づいた。「今回は優勝を狙っていく」と、あえて大きなプレッシャーを自身に強いることで、ようやく打ち破ることが出来た。「絶対に勝つ」と、最後まで強気で戦いきった。夢にまで見た歓喜の瞬間は、2013年の年の初めにやってきた。
開幕戦「東建ホームメイトカップ」でプロ20年目のツアー初V。43歳での初優勝は、日本人選手としては、史上4番目の年長記録だった。

最終日は、強い風が吹き荒れる中でも「かえって集中出来た」という。そんなしぶとさこそ、20年の時をかけて、培ってきた塚田の武器でもあった。
アメリカの大学に進み、豪州でプロ転向を果たし、アジアを転々と歩き続けてきた自称「ゴルフトラベラー」。世界各地で経験を積むうちに、どこでだってやっていける。自然と身につけたしたたかさ。
遅咲きのベテランは、ついに母国日本で大願を成就しようと、立ち止まることを知らない。

このオフも、相変わらず労を厭わず世界中を飛び回って、2月にはアジアンツアーのQスクールに挑戦。27位に入って今季は久しぶりに、アジアとヨーロッパのチャレンジツアーに出られる権利を得た。同大会は、ほかに優勝を飾った谷昭範など、5人の日本勢がトップ40に入る躍進を見せた。

また塚田はさらに、3月の全英オープンアジア予選でプレーオフの末に、権利の与えられる上位4人の最後の“一席”に滑り込み、メジャー切符を獲得。トップ通過を果たした岩田寛とともに、今年はロイヤルリバプールで、2004年と2008年以来となるリンクスコースに挑むことになった。
昨年の優勝会見では、「おまけでもいいから、マスターズにも出てみたい」と語った。「もし実現したら、プロを辞めてもよい」とさえ。「それくらい、僕にとっては究極の夢」。自由奔放な旅人。メジャーの大舞台さえ、塚田はひょうひょうと旅して歩く。

※塚田が連覇を狙う2014年のジャパンゴルフツアー開幕戦「東建ホームメイトカップ」は今年も三重県の東建多度カントリークラブ・名古屋で4月17日より開幕。前日の16日水曜日のプロアマ大会も入場可能です。

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