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〜全英への道〜ミズノオープン 2011

石川遼は1日2イーグルで3位タイ浮上

536ヤードの18番パー5。残り246ヤードの第2打は、「本能」で持ち替えた。「右からのアゲンストは、普通なら無風でも2番アイアン。でも構えてみたら、3番アイアンでも行きそうだ、と」。瞬時の判断でピンの奧4メートルを、楽々と捉えた。イーグルトライはカップの右端から、コロンと沈んだ。

一昨年9月のANAオープンの最終日に続く、自身2度目の1日2イーグルで、3位タイに浮上した。契機となったのは、10番のパー4だった。
50センチの短いパーパットを外した。ボギーを打った。
専属キャディの加藤大幸さんに、ポツリとこぼした。

打てば入って当然という距離に、「ああいうところで、気が緩むんだよね」。
「メジャーでもそうなの?」と加藤さんに切り替えされて、ハッとした。
「メジャーではそんなことはしない」。
世界の舞台なら「あんなところで油断しない。あり得ない」。

夢はマスターズでの優勝というのなら、どんな舞台でも、そしてどんな一打にも、全力で向かうのが本当だ。
気合を入れ直した。それが快挙につながった。422ヤードの13番パー4は、残り139ヤードの第2打が、カップに沈んだ。
「グリーンは硬くフォローの風に、スピンは臨めない。手前3ヤードを狙ったショットだった」。しかし、気合が入りすぎて「打った瞬間、強いと思った」。

一瞬、「あっ」という顔をした石川だが、確かにピン奧に着地したボールはしかし、下り傾斜を使ってうまくラインに乗った。見る間にカップに吸い込まれた。
「幸運に恵まれた」。リンクス風のコースは何も遮るものがない。コース中に轟き渡った大歓声に応えて、両腕を高く天に突き上げた。

「ここで外せば優勝争いには加われない」と14番で3メートル、16番では4メートルのパーパットをしぶとくしのいで、13番でのパフォーマンスも無駄にしない。
日本ツアーで2試合連続の予選落ちを喫して臨んだ全米オープン。19歳は、失敗することこそ、成功の近道であることを改めて学んだ。
「悪い部分がいっぺんに出た2週間。それがあったから、アメリカでもその経験が生かせた」と石川は言う。

世界最高峰の舞台でも自身の欠点に真摯に向き合い、難コースでそれらを克服することでむしろ、さらに成長することが出来る。それを身を持って経験して帰ってこられた。「予選落ちも決してマイナスなことではない、と思える2週間でした」と、逞しさもいっそう増した。

最終日最終組は、金庚泰(キムキョンテ)との最終組。昨年は、最終戦の「ゴルフ日本シリーズJTカップ」の初日にやはり同組ラウンドで、実に10打差の“敗北”を喫するなどこれまで7度の直接対決で、6敗と苦手な相手は「キョンテはいま間違いなく日本で一番強い選手だし、キョンテのプレーを見ていると、自分のゴルフが隙だらけに感じて、焦ってしまう」と、その要因も自己分析済みだ。

「でも今の自分はきっと、そうじゃない」。
金のほかにも裵相文(ベサンムン)ら、韓国勢の勢いに凄まじいものがあるが、「日本人として、一歩でも粘れるように。明日は最後まで優勝争いに加わる」と、心に誓った。

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