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東建ホームメイトカップ 2010

主催者推薦の山本隆允(やまもとたかまさ)は「勇太から、学べることはたくさんある」

やっぱり、“同僚”からの褒め言葉が一番嬉しい。この日同組でまわった米出身のハン・リーが、絶賛した。
ホールアウトするなり肩を抱かれて「お前のショットは最高だよ!」。照れ笑いで「サンキュー」と返した。
「そのうち、お前は絶対に勝てるよ!」。
「いやいや、そんな・・・・・・」と照れ笑いで謙遜したが、まんざらでもない。

昨年のファイナルQTはランク53位で、このジャパンゴルフツアー開幕戦の出場権はなかったが、今回は主催者推薦を受けて出番を得た山本が、最終日に3アンダーをマーク。
相変わらず強い風が吹き、しかもシビアなピン位置の難条件で、ボギーなしを記録して、自己ベストの9位タイに浮上した。

周囲から受けていた「とにかく予選通過して来い」との指令どおり、29位タイで決勝ラウンドに進出。まずは最初の関門を突破して恩人の期待に報いたら、「あとは、もう普通にやればいい」と気負わず、真摯に難コンディションと向き合った。
「そうしたら、上が伸びずに勝手に順位が上がっていった」。

インスタートの最終9番で、バーディが獲れればその時点では、トップ5入りも夢ではなかった。そうすれば、いまは権利がない次週のつるやオープンの出場権も得られる。
「最後はもちろん、狙っていました。せめてグリーンに残っていてくれたらチャンスがあったと思うんですが・・・・・・」。
セカンドショットが奧のエッジをわずかにこぼれ、パターでのバーディトライもわずかにカップを逸れた。
「残念でした」と悔しがったが、2010年の初戦としては、「上出来」の幕開けだ。

このオフ、東北福祉大の先輩・谷原秀人の助言を得てスイング改造に取り組んだ甲斐は確かにあった。
「谷さんには、オーバースイングに気をつけてコンパクトに振れ、と」。
強風下のラウンドでは特に、それが生きた。

昨年、石川遼と最後まで賞金レースを争った池田勇太は、大学の2つ後輩だ。「学生時代は、僕が勇太を叱ったこともあったんですが」と、八重歯を見せた。「でも、全然聞いてはくれなかったけど」と、可笑しそうに振り返った。

今ではその後輩が、はるか先を行っている。しかし、明るくきっぱり言い切った。
「今の勇太からも、学べることはたくさんある。年が上とか下とか関係なく、良いものは、なんでも吸収していけたらいい」。
人みな我が師の精神で、飛躍を目指す。

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