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全英オープン2日目 トム・ワトソンがセントアンドリュースを最後に。石川遼が思わず涙。

(写真提供=カメラマン代表撮影)
石川遼のスタート直後に、強風による約1時間の競技中断。その影響もあってか、各ホールで渋滞気味。

14時31分のスタートにも関わらず、ホールアウトしたのは夜22時過ぎと、約7時間30分にも及ぶ長いラウンドになった。

日没前の夕焼けに照らされ紫色がかったセントアンドリュースの18番。
ティグラウンドからグリーンへと続くホール内には、ゴルフの神が降りて来たような空気に包まれた。

トム・ワトソンがオールドコースの名物のスウィルカン・ブリッジに差し掛かった時に、17番グリーン方向に体を向け、帽子を取って大きく敬意を払った。
誰しもが、ワトソンがセントアンドリュースに別れを告げたのだと確信した。

全英オープンは5年に一度セントアンドリュースでの開催が慣例となっているが、ワトソンは既に60歳を過ぎている。
次回にこのコースで開催する時は、年齢的にも難しくなっている。誰よりもワトソンが分かっていることだった。

昨年は59歳ながら最終日を単独首位で迎え、大会史上最年長優勝を142年ぶりに更新するという大記録に、あと一歩まで迫った。
プレーオフまでスチュワート・シンクと争い、ワトソン健在を全世界にアピールした。

このセントアンドリュースでは未勝利ながら、全英オープンは過去5勝(1975・77・80・82・83)と歴代2位の記録を保持し、いまなお今大会の英雄の一人でもある。
ワトソンと同組で、最後のプレーを共にした石川の目にも、自然と涙が込み上げて来て仕方がなかった。
「歴史的な瞬間に立ち会えて本当に幸せ。こういう経験をさせていただいた方々に感謝したい。ワトソンとの一生の思い出。宝物になった。」と涙ながらに言葉を震わせた。

ワトソンと石川は、今年の6月に開催された『全米オープン』で初ラウンド。そして、続くメジャー3戦目『全英オープン』でも同組となった。
「僕は2つのトーナメントで一緒にプレーさせていただいた。僕ですら寂しくなるんだから、今日来ていただいているギャラリーの方はもっと寂しいはず」。

トム・ワトソンがグリーンに向かう一歩を踏みしめる度に、18番スタンドと一般道を埋め尽くした数え切れない大ギャラリーからの大歓声と拍手が次第に大きくなっていた。「200ヤードぐらいずっと拍手が鳴りやまなかった」。

石川が「最後にファンを魅了するプレー」と賛辞を送ったワトソンのパターで転がしたセカンドショットは、カップから数十センチの所で止まった。
「セカンド入れて終わるのかな」という気さえしたほど。

最後にファンに入れても良いかという仕草をした後、静かにタップイン。前の組でラウンドしていたタイガーウッズがワンオンに成功し、イーグルトライをした時の数倍のフラッシュが辺りを包んだ。

「人々に与える影響はすごい」と石川は感動したが、ホールアウト後に英雄ワトソンから熱いメッセージを貰った。
「お世辞かも知れないけど、『スイングもそのままで良いし、良いゴルファーだ』と言われました。」

初の全英オープン予選通過を果たし「自分がこういうものを受け継いで頑張って行かないと」。
明日に向けて一つでも上の順位でワトソンの想いに応える覚悟だ。

そして最後に、ワトソンは記者会見で来週カーヌスティで開催される『全英シニアオープン』出場と全英オープンからの引退ではない事を発表し、世界のゴルフファンを安心させた。

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