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日本オープンゴルフ選手権競技 2011

藤田が、河瀬が!! 好スタート

芹澤信雄を師と仰ぐ、2人の弟子が好発進した。まずは兄弟子が1アンダーで上がってきた。42歳が、静かな闘志を燃やしている。藤田寛之が、昨年のゴルフ日本シリーズJTカップに続く、日本と名のつく2度目のタイトル獲りにむけて、ジワリと好スタートを切った。

もともと安定感に定評のある選手が、徹底した安全策を取れば、もはやどこにも隙がない。
ラフが深く、フェアウェイが狭い難コースでは、「なおさらフェアウェイキープが大事」と、この日ティショットでドライバーを握ったのは、5回だけ。

「風向き、ピン位置などそのときの雰囲気を見てベストな選択を下した」と、勝負師の直感を駆使して、前半の9ホールはひとまず様子見。
1ホールごとにプランを組み立てていくゴルフで「フェアウェイキープが出来た」と、イーブンパーで折り返して感触を掴むと、後半もそのまま刻みに徹してこの日は1アンダーでまとめてきた。

このゴルファー日本一決定戦に、並々ならぬ思いを募らせるのは、タイトルの重さだけではない。毎年、伝統のコースで行われるこの日本オープンは、まして主催の財団法人日本ゴルフ協会が、威信をかけて仕上げるセッティングにこそ、戦う男の本能が揺さぶられる。
難コースの挑発。「何ともいえない雰囲気、バチバチ感じる。初日から、ムンムン出始めている」。

最終ホールは同組の武藤のダブルボギーに、転がり込んだ単独2位にも「情けない」と自分を責めた昨年大会。リベンジに向けて、アラフォーの星がジワリと好スタートだ。

そして、その藤田に1打リードは、弟弟子の河瀬賢史。ここ鷹之台カンツリー倶楽部は、練習ラウンドから好スコアが出ていたそうでちょうどホールアウトしてきたときに、パッティンググリーンにいた藤田も、「やっぱり、さすがだね」と、ちょっぴり皮肉交じりの称賛を浴びせたほど。

しかし、兄弟子に言われるほどに、本人は満足していなかった。
実はこの日初日は、1.5メートルもない絶好のチャンスを、4つも外した。
「スコアだけ見れば確かにそうですが、自分の中では課題がたくさん」。
最初は、ラインが読めていないのかと思っていたが、「全部右に押し出していた」。打ち方のせいと分かって、反省しきり。
「自分の持ち味はパッティングと言ってる以上は、そこを外すというのは論外です」と、さっそく練習グリーンに腰を据えて、課題のスライスラインに取り組んだ。

確かに、“チーム芹澤”の一員だが正確に言うと、師匠は藤田。芹澤は「さらに上の大師匠という感じで。喋るのも緊張する」。その点、藤田は掛川市のご近所さんで、互いの家までわずか10分。

2年前からオフのトレーニングも練習も一緒。直接、指導を受けるのも藤田だ。身長167センチ、体重も70キロ前後と、体形も似通っており、ウェアも藤田の“お下がり”で挑む今季は、現在賞金ランク76位と、念願の初シード入りまでもう一踏ん張りだ。

今週は、賞金総額2億円のビッグチャンスに、“師匠”との優勝争いも夢ではないが、「そこはまだ初日。何が起きるか分からないのでまずは1日1日、悔いの残らないようにやることが一番」と、慎重だ。

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